マニュアル作成といえばWordやPDFが定番ですが、「更新が大変」「どれが最新版か分からない」などの課題を感じていませんか?そんな時におすすめなのが、Googleスプレッドシートを使ったマニュアル作成です。Googleスプレッドシートなら、一覧性が高く、編集・共有・更新もラクラク。チーム全体でリアルタイムに管理できるため、属人化や情報の分断を防げます。
本記事では、Googleスプレッドシートを使ってマニュアルを作成する具体的な方法を解説します。あわせて、作成のコツやテンプレートの活用術、よくある失敗とその対策、便利な連携アイデアまで、現場で実践できるノウハウを幅広くご紹介しますので、ぜひ、最後までご覧ください。
業務マニュアルに求められるものが変わってきている
従来のマニュアルといえば、WordやPDFで作成し、印刷またはメール添付で配布するのが一般的でした。しかしこの方法では、更新のたびに再配布が必要で、どれが最新版か分からなくなるという問題が起こりやすく、現場で活用されないまま放置されるケースも少なくありません。
また、マニュアルに記載された内容が古くなっていても、誰も気づかず使い続けてしまうなど、更新性や運用面での課題が多くあります。
最近では、こうした問題を解消し、誰もがアクセスしやすく、常に最新の状態を保てるマニュアルが求められるようになってきています。
Googleスプレッドシートがマニュアル管理に適している理由
Googleスプレッドシートは、表計算ツールとしての役割だけでなく、複数人での同時編集や、変更履歴の自動保存、アクセス権限の柔軟な管理など、マニュアル作成・運用に必要な機能を多数備えています。
特に、業務内容を項目別に整理しやすく、視認性の高い一覧形式で共有できる点は、マニュアルとの相性が非常に良いといえます。紙やPDFではできなかった、「現場で日々使われ、改善されていくマニュアル」を実現しやすいのが、Googleスプレッドシートの大きな魅力です。
Googleスプレッドシートでマニュアルを作るメリット
Googleスプレッドシートを活用することで、マニュアル作成・運用の効率が格段に向上します。ここでは、主なメリットを3つに分けてご紹介します。
一覧性が高く、全体を俯瞰しやすい
スプレッドシートは縦横の枠組みを使って情報を整理できるため、マニュアル全体の構造を一目で把握しやすくなります。
業務内容・手順・注意点・担当者・実施頻度などを列ごとに整理すれば、読み手も情報を探しやすく、理解しやすくなります。
また、見出しを固定したり、フィルタや並び替えを活用したりすることで、目的の情報にすばやくアクセスできるのも大きな利点です。
リアルタイムでの更新・共有が可能
スプレッドシートはクラウド上で管理されているため、常に最新版の内容をチーム全体で共有できます。
誰かが編集すると即座に反映されるため、マニュアルの修正や追記もスムーズです。
また、関係者ごとに「編集可」「閲覧のみ」などの権限を設定できるため、情報漏洩のリスクも最小限に抑えることができます。
属人化を防ぎ、業務の標準化につながる
スプレッドシートでマニュアルを整備すると、業務知識や手順が特定の人だけに依存する状態を防げます。
例えば、店舗運営や事務作業など、担当者が交代してもスムーズに引き継ぐことができるようになります。
組織全体で「誰が見ても同じように実行できる」状態をつくることが、業務の標準化や再現性の向上に直結します。
スプレッドシートによるマニュアル構成の基本
スプレッドシートでマニュアルを作成する際は、情報をわかりやすく整理することが重要です。構成の工夫次第で、見やすさ・使いやすさが大きく変わります。以下のポイントを押さえておくと、実務でも役立つマニュアルを作成しやすくなります。
横軸と縦軸の使い分けがカギ
一般的には、縦方向に「業務の流れ」や「各作業項目」、横方向に「手順」「目的」「注意点」などの項目を並べて整理します。
こうすることで、どの作業に対してどのような行動をとるべきかが一目で把握できる構造になります。
例えば、以下のような構成が代表的です。

シートを業務別・役割別に分けると整理しやすい

1つのスプレッドシートにすべてのマニュアルを詰め込むのではなく、シートごとに内容を分けることで情報が整理され、検索性も高まります。
例えば、次のようなシート分けが有効です。
- 業務カテゴリ別(経理/人事/顧客対応など)
- 担当者別(新入社員用/管理者用など)
- 頻度別(日次業務/月次業務など)
色分け・フィルタ機能で視認性を高める

スプレッドシートを使ったマニュアルや業務表は、情報が多くなるほど見づらくなりがちです。そこで役立つのが「色分け」と「フィルタ機能」です。視覚的に整理することで、必要な情報をすぐに見つけられるようになります。
例えば、重要な項目や特に注意が必要な作業にはセルの背景色を変更することで、一目で分かるようにできます。赤や黄色など、注意喚起しやすい色を使うと効果的です。
さらに、フィルタ機能を使えば、特定の条件に合った情報だけを表示させることができます。「担当者ごと」「期限が近い順」「未対応の作業のみ」などで絞り込むことで、日々の業務管理がスムーズです。
このように、スプレッドシートは機能面で自由度が高いため、色やフィルタを上手に活用することで、マニュアルを「見やすく・使いやすく・更新しやすい」ツールに進化させることができます。視認性の向上は、作業ミスの防止や情報共有の効率化にもつながります。
Googleスプレッドシートでマニュアル作成する手順とコツ
Googleスプレッドシートでマニュアルを作る際は、いきなり書き始めるのではなく、手順を踏んで設計・記述することが大切です。ここでは、作成の基本ステップとともに、実践的なコツをご紹介します。
マニュアル作成手順①:目的と読者を明確にする
まずは、マニュアルの「目的」と「対象者」をはっきりさせることが重要です。
新人向けの操作ガイドなのか、経験者へのチェックリストなのかによって、記載すべき内容や表現の深さが変わってきます。
対象者を具体的に想定することで、不要な情報を省き、本当に伝えるべきポイントに絞ったマニュアルが作れます。
マニュアル作成手順②:項目構成をテンプレート化する
マニュアルの各項目を事前にテンプレート化しておくと、作成や更新がスムーズになります。よく使われる構成例としては、以下のようなものがあります。
- 業務項目
- 手順
- 注意点
- 担当者
- 頻度
- 実施日
- 備考
テンプレートを共通化することで、チーム全体で一貫性のあるマニュアル運用が可能になります。
マニュアル作成手順③:コメントと履歴で継続的に改善する

Googleスプレッドシートのコメント機能を活用すれば、マニュアルに対して他のメンバーから意見をもらいながら改善できます。「この手順はわかりづらいかも」「ここに補足があると助かる」など、実際の使用者の声を反映しやすくなります。
また、自動で保存される変更履歴を使えば、誰がどこを修正したかを追跡できるため、管理上の安心感もあります。
マニュアル作成手順④:スマホ表示を意識して設計する
現場でマニュアルを見る人が多い場合、スマートフォンでも読みやすい設計が求められます。列が多すぎると横スクロールが必要になり、かえって見づらくなることがあるため、1行あたりの情報量はなるべくシンプルにまとめましょう。
表示テストを行い、スマホでの見やすさや操作性も確認しておくと安心です。
これらのステップを意識することで、スプレッドシートを使ったマニュアルが「読まれる・使われる・改善される」運用につながっていきます。
Googleスプレッドシートの便利なテンプレート活用術
マニュアル作成を効率化し、内容の品質を一定に保つためには、テンプレートの活用が非常に効果的です。ここでは、スプレッドシートにおけるテンプレートの種類や活用のコツをご紹介します。
すぐに使える無料テンプレートを活用する

Googleスプレッドシートには、初期状態で使えるさまざまなテンプレートがあります。
Googleのテンプレートギャラリーから「プロジェクト管理」「チェックリスト」などを選ぶことで、マニュアルのひな型として流用することができます。
また、Web上には「業務マニュアル用の表形式テンプレート」や「業務引き継ぎ表」「作業チェックリスト」など、無料で公開されているフォーマットも多数あります。
これらを自社用にカスタマイズして使うことで、作成時間を短縮しつつ、初めての作成でも迷いなく進めることができます。
自社専用のテンプレートを作成しておく
使うたびに一から項目を考えるのは非効率です。
あらかじめ自社で使用するフォーマットをテンプレート化しておけば、誰が作成しても形式が統一され、閲覧者も内容を理解しやすくなります。
テンプレートには記入例をあらかじめ入力しておくと、新しく作成する人の理解もスムーズになります。
テンプレートの共有・管理も仕組み化する
テンプレートが社内に複数存在すると、どれが最新版かわからなくなることがあります。
Googleドライブ上に「マニュアルテンプレート」フォルダを作成し、用途別・部署別に分類しておくと、管理しやすくなります。
また、誰がいつ使ったかを記録しておけば、改善点やフィードバックの収集にもつなげることができます。
テンプレートをうまく活用すれば、マニュアル作成のハードルが下がり、継続的に使われる仕組みも作りやすくなります。
Googleスプレッドシートマニュアルをさらに便利にする方法
スプレッドシートでマニュアルを作成するだけでなく、実際に「使いやすい」「見やすい」と感じてもらうためには、いくつかのカスタマイズが効果的です。以下では、実務で役立つ4つの工夫をご紹介します。
目次を作成(ハイパーリンクを設置)

スプレッドシート内の情報量が増えると、目的の情報を探すのに手間がかかります。
この課題を解消するには、冒頭に目次を設置し、各セクションへのジャンプリンクを設定するのがおすすめです。
HYPERLINK関数を使えば、特定のセルやセクションに直接飛べるリンクが作れます。見出しに「名前付き範囲」を設定しておくことで、リンク先の管理も簡単になります。
「どこに何が書いてあるのか」が一目でわかり、利用者のストレス軽減につながります。
視覚的な工夫で情報をわかりやすくする

色・罫線・アイコン・チェックボックスなど、視覚的な要素をうまく取り入れることで、マニュアルの見やすさや直感的な操作性が格段に向上します。
例えば、重要な注意点には背景色を設定したり、操作済みの項目にはチェックボックスを使ってチェックを入れることで、作業の進捗や対応状況が一目でわかります。また、「表示形式」>「条件付き書式」を活用すれば、「特定のキーワードが入力されたとき」「セルが空欄のまま」など、あらかじめ定めた条件に応じて色を自動で変えることもできます。
入力規則で記載ミスを防ぐ

Googleスプレッドシートの「データの入力規則」機能を活用すれば、入力値の制限やプルダウン形式での選択肢表示が可能になります。これにより、入力ミスや表記のばらつき(例:「済」「完了」「Done」など)を防ぎ、記載内容の統一が図れます。
具体的には、あらかじめ指定した選択肢からのみ入力できるようにしたり、日付や数値など特定の形式以外の入力を制限したりすることが可能です。こうしたルールを設けることで、誰が入力しても一定のフォーマットで情報が整い、マニュアル全体の整合性や信頼性が向上します。
特に複数人でマニュアルを作成・編集する場面では、入力規則は非常に有効な管理手段となります。チーム全体での情報の一貫性を保ち、スムーズな運用が可能になります。
セル保護で誤編集を防止する

誤って大事な内容が編集・削除されることを防ぐには、保護範囲の設定が有効です。
「データ」>「範囲を保護」で特定のセルや列だけを編集不可にしておけば、マニュアルの土台となる構成やテンプレート部分を守ることができます。
編集者を限定したい場合は、保護設定とユーザー権限(自分だけが編集できるようにする / 特定のユーザーだけが編集できるようにする / 警告を表示する(編集自体は可能だが注意を促す))を組み合わせて使うことで、安全な運用が実現します。
Googleスプレッドシートでのマニュアル作成でよくある失敗と注意点
Googleスプレッドシートは便利な反面、使い方を誤るとマニュアルが形骸化したり、チーム内で混乱を招いたりする恐れがあります。ここでは、実際によくある失敗と、その回避策を紹介します。
表が複雑になりすぎて見づらくなる
スプレッドシートは自由度が高い分、項目を詰め込みすぎてしまい、結果的に読みづらいマニュアルになることがあります。列や行が多すぎると、スクロール量が増え、重要な情報を見落としやすくなります。
最初は必要最低限の項目に絞り、後から必要に応じて補足を追加するくらいのシンプル設計がおすすめです。
権限設定ミスによるトラブル
Googleスプレッドシートを「誰でも編集可」の状態で共有してしまうと、誤操作や意図しない削除・上書きが発生するリスクがあります。特に複数人で同時に作業する場面では、ファイルの信頼性やデータの正確性が損なわれてしまう可能性があります。Googleスプレッドシートでは、以下の3つの権限を設定できます。
- 編集者:すべての内容を編集・削除できる(もっとも権限が強い)
- コメント可:内容の編集はできないが、コメントの追加は可能
- 閲覧のみ:表示はできるが、編集・コメントは不可
例えば、
- 運用責任者や管理者には「編集者」権限を付与
- 確認・フィードバックだけを求めるメンバーには「コメント可」
- 閲覧だけで十分な関係者には「閲覧のみ」
といったように、関わる人の役割に応じて適切に権限を分けることで、作業の安全性と効率性が大きく向上します。こうしたトラブルを防ぐためには、共有リンクの設定やユーザーごとの編集権限を慎重に管理することが重要です。
更新されず古い情報のまま放置される
マニュアルを作ったものの、その後の更新が行われず、内容が実態と合わなくなってしまうことも多く見られます。
Googleスプレッドシートはリアルタイムで編集できる利点がありますが、逆に言えば更新担当者が明確でないと放置されやすくなります。
更新のルールを事前に決めておき、「誰が」「いつ」更新するのかを明文化しておくと安心です。リマインダーやチェック欄を設けるのも効果的です。
スマートフォンでの表示に配慮がない
スマホで確認することが多い現場では、列数が多いとスクロールが煩雑になり、情報を探しにくくなります。あらかじめスマートフォン表示をテストし、1画面で見やすい項目数に抑える、改行や列幅を調整するなど、モバイルフレンドリーな設計を心がけましょう。
こうした失敗を防ぐには、「誰が・どのように・何のために」使うのかを意識した設計と、継続的なメンテナンスがカギとなります。
Googleスプレッドシートをさらに活用する連携アイデア
Googleスプレッドシートは単体でもマニュアル作成に便利なツールですが、他のGoogleサービスや外部ツールと組み合わせることで、運用の幅がさらに広がります。ここでは、実務で役立つ連携アイデアをいくつかご紹介します。
Googleフォームでマニュアル内容を入力・確認
Googleフォームを使えば、特定の手順を実施したかどうか、担当者が自己申告でチェックできるようになります。
例えば、「作業が完了したらフォームに入力する」という運用にすることで、マニュアルの実施状況を記録・管理することができます。
フォームの回答はスプレッドシートに自動反映されるため、マニュアルと運用記録を一元管理できます。
AppSheetでマニュアルをアプリ化する
Googleスプレッドシートのデータをもとに、ノーコードでアプリを作れる「AppSheet」と連携すれば、マニュアルをスマホアプリとして閲覧・操作することも可能です。
現場作業や外出先での確認が多い場合は、スマホ画面に最適化されたアプリとしてマニュアルを提供することで、使い勝手が格段に向上します。
Googleドライブでバージョン管理と一元管理を徹底
マニュアルファイルがバラバラに保存されていると、どれが最新か分からなくなることがあります。
Googleドライブ上に「マニュアル管理」用のフォルダを作成し、ファイル名の命名ルール(例:部署_業務名_作成年月)を統一することで、迷わずアクセスできるようになります。
また、ドライブの共有設定を利用すれば、部署別や役職別にアクセス権限を調整することも可能です。
このように、Googleスプレッドシートは他のツールと連携することで、単なる文書管理を超えて「運用の仕組み化」や「実行管理」の領域までサポートすることができます。
Googleスプレッドシートで「作りやすく、使われる」マニュアルを実現しよう
Googleスプレッドシートは、単なる表計算ツールにとどまらず、マニュアル作成・管理において非常に高い柔軟性と利便性を持っています。
一覧性の高さ、リアルタイム編集、権限管理のしやすさといった特長により、業務の可視化と標準化を進めるうえで心強い存在となるでしょう。
また、テンプレートの活用や他ツールとの連携を通じて、「作って終わり」ではなく、「使われ、育てられるマニュアル」の実現が可能になります。
スプレッドシートでのマニュアル作成は、手軽に始められるだけでなく、運用の仕組みまで組み込めるのが魅力です。まだ導入していない方は、まずはシンプルな業務から試してみてはいかがでしょうか。
マニュアルがきちんと整備されることで、業務の属人化を防ぎ、チーム全体の生産性や安心感を大きく高めることができます。
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