社内教育や業務効率化の手段として、いま注目されている「動画マニュアル」。文字や写真だけでは伝えにくい業務の流れや操作手順を、わかりやすく直感的に伝えられるため、多くの企業が導入を進めています。しかし、初めて動画マニュアルを作成する際には、「何から始めればいいのか」「どのように作れば効果的なのか」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、動画マニュアル作成の基本から、実践的な作り方、押さえておきたいコツ・ポイントまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
動画マニュアル作成のメリット
動画マニュアルとは、業務手順や製品の使い方などを、動画形式でわかりやすく説明したマニュアルのことです。静止画やテキストだけのマニュアルと違い、実際の動作や手順を「見て」「聞いて」理解できるため、理解スピードが速く、記憶にも残りやすいという大きな特徴があります。操作の流れや細かなニュアンスまで伝えられるため、視聴者にとってより直感的で理解しやすい情報提供が可能になります。
具体的なメリットとして、下記が挙げられます。
操作手順や業務フローを視覚的に伝えられる
動画なら、画面上のカーソルの動きや、手元での細かな操作手順などを、そのまま見せることができます。テキストや静止画では説明しづらい「動き」や「タイミング」も、リアルに伝えられるため、視聴者は感覚的に理解しやすくなります。
特に、細かい手順が多い作業や、実際の流れをイメージしにくい業務には、動画マニュアルが非常に効果的です。
声のトーンや話し方、雰囲気も伝えられる
接客マナーや電話対応など、人とのコミュニケーションが求められる場面では、言葉だけでは伝わりにくい「声のトーン」や「表情」「間の取り方」といったニュアンスが重要になります。動画を使えば、話し方のスピード、声の柔らかさ、態度・雰囲気までリアルに再現できるため、視聴者は模範となる対応例を自然と身につけやすくなります。
「どんな表情で」「どんな声で」伝えるかまで学習できるのが、動画ならではの強みです。
新人教育・マニュアル研修を効率化できる
動画マニュアルを使えば、毎回同じ内容の説明を担当者が繰り返す必要がなくなります。統一された品質の指導ができるため、教える側による「ばらつき」も防げます。
また、短期間で多くの新人に対して一斉に研修を行うことができ、教育コストと時間の大幅な削減が可能です。結果として、現場の即戦力化にもつながります。
自己学習が促進できる
動画は視聴者が自分のペースで何度でも繰り返し視聴できるため、理解が深まるまで反復学習することが可能です。わからない部分だけをピンポイントで見直したり、移動中や隙間時間に復習したりと、学びの柔軟性も高まります。
受け身ではなく、自ら学びにいける環境を作れるのが大きなメリットです。
多言語展開やグローバル対応がしやすい
動画に字幕(テロップ)を追加するだけで、簡単に多言語対応が可能になります。
音声を吹き替えたり、外国語字幕をつけたりすることで、海外拠点や外国籍スタッフにも同じ内容を伝えることができます。資料翻訳に比べてコストや手間を抑えつつ、グローバルスタンダードなマニュアル展開ができるため、国際化が進む企業にも大きな利点となります。
動画マニュアル作成の活用シーン
動画マニュアルは、さまざまな業種・職種で幅広く活用されています。
- 入社時研修(会社のルールや業務の基本を伝える)
- 接客マナー指導(表情・態度・声のトーンまで学べる)
- 工場作業手順の説明(機械操作・安全管理の伝達)
- ソフトウェア操作マニュアル(システムの使い方を画面操作で解説)
- 機械のメンテナンス手順(メンテナンス作業の流れを実演)
これら以外にも、社内教育、製品マニュアル、顧客サポート用動画など、さまざまな場面で動画マニュアルは活用されています。
動画マニュアル作成前にやるべき準備|目的・対象・構成の整理
動画マニュアルを効果的に作成するためには、撮影に入る前の事前準備がとても重要です。事前にしっかり準備をしておくことで、作成途中の迷いや、撮り直しなどの手間を大幅に減らすことができます。
動画マニュアル作成にあたっての準備ステップ
動画マニュアル作成ステップ① 目的を明確にする
まず、動画マニュアルを作る目的をはっきりさせましょう。
「新入社員に基本操作を教えたい」「現場スタッフに安全手順を理解させたい」など、誰に、何を、どこまで伝えたいのかを具体的に設定することがスタートです。
動画マニュアル作成ステップ② 対象者を理解する
伝える相手(ターゲット)を想定しておきます。
対象者が初心者であれば、専門用語は避けたり、丁寧に補足説明を入れる必要があります。逆に、ある程度知識がある人向けなら、基本的な説明は省き、要点だけをまとめるなど、説明の深さを調整しましょう。
動画マニュアル作成ステップ③ 伝える内容を絞る
欲張って一つの動画に多くの内容を盛り込みすぎると、視聴者が混乱し、理解が浅くなります。
1動画1テーマを基本に、1本の動画では「ひとつの目的・ひとつの流れ」を伝えるようにしましょう。
動画マニュアル作成ステップ④ 構成案(ストーリーボード)を作成する
実際に動画にする前に、流れを設計しておくことが大切です。
- 「冒頭(動画の目的・概要説明)」
- 「本題(手順や操作方法の説明)」
- 「まとめ(重要ポイントや次の行動案内)」
この基本的な流れを意識しながら、どの順番で、どの場面を、どういう映像で撮るかをイメージしておくと、撮影も編集もスムーズに進みます。
しっかりと事前準備をすることで、動画制作中の迷いや手戻りを減らし、スムーズな進行が可能になります。
初心者向け!動画マニュアル作成の流れとポイント

動画マニュアル作成の全体フロー
- シナリオ(台本)作成
- 撮影準備
- 撮影
- 編集
- チェック・改善
- 公開・運用
「設計 → 撮影 → 仕上げ → 見直し → 活用」 という流れを押さえるのがコツです。
動画マニュアル作成の各ステップで意識すべきポイント
1. シナリオ(台本)作成
まず「何を」「どの順番で」伝えるかを整理します。
- ゴールを明確にする
何を理解してもらいたいか?を最初に決める - シンプルな構成にする
「結論→理由→具体例」の順で台本を書くとスムーズ - ターゲットを意識する
誰向け(初心者・経験者)かで説明の深さを調整する - 冗長な説明は避ける
1つの動画は「1テーマ」がおすすめ
【ポイント】 最初に「この動画でわかること」を30秒以内で紹介する。
2. 撮影準備
「段取り8割」で撮影がスムーズに!
- 機材を整える
スマホでOK。三脚・外付けマイクがあるとさらに安定・高音質 - 撮影環境を整える
明るい場所+静かな場所(外音ノイズに注意) - 台本に沿ってリハーサルする
一度通して練習すると、本番撮影が格段に楽になる - 不要な通知をオフに
スマホ・PCの通知音が入らないように注意
▶︎ポイント:撮影前に「手順を一度自分でやってみる」と撮り漏れ防止に!
3. 撮影
「伝わる」映像を意識!
- 1ステップごとに丁寧に撮る
- 手元・画面・動きがはっきり見えるように
- 冗長な部分はあらかじめカット意識で撮影
- 重要なシーンは2回撮っておくと安心
▶︎ポイント:操作や動作の直前で一瞬止まると、編集時にメリハリがつけやすい!
4. 編集
わかりやすさを最大限に引き上げる工程!
- 不要シーンをカットしてテンポよく
- テロップ(字幕)を入れる
手順名や注意ポイントは必ず文字で表示 - ナレーションやBGMを加える
静かすぎる動画は集中力が続かないため - 重要な手順は拡大・強調
見せたいポイントに矢印や囲みを入れる
▶︎ポイント:編集で一番大事なのは「視聴者に迷わせない」こと!
5. チェック・改善
第三者の目でチェックするのが超重要!
- 必ず他の人にも見てもらう
自分だけでは気づけないミスや違和感が発見できる - 「初心者目線」で見直す
初めて見る人でも理解できるか? - フィードバックをもとに修正する
修正は細かくても必ず反映!
▶︎ポイント:可能なら「業務未経験者」にテスト視聴してもらうとベスト!
6. 公開・運用
作ったら終わりではありません!
- 閲覧環境を考慮する
PC・スマホどちらでも見やすいように - テキストマニュアルもセットで用意する
動画が見られない環境にも対応 - 定期的に内容を見直す
システム変更などがあったらすぐ修正する
▶︎ポイント:公開後の「運用・更新」がマニュアルの価値を左右します!
初心者が動画作成で失敗しがちなポイント【事前に注意!】
動画マニュアル作成では、初心者が陥りやすい失敗パターンがあります。
これらを事前に意識しておくことで、スムーズに作成を進められます。
動画作成の失敗例①:「とりあえず撮り始める」と途中で詰まる
事前に台本(シナリオ)を作成しておくことが大切です。台本がないまま撮影を始めてしまうと、途中で「次に何を話せばいいかわからない」「説明の順番がバラバラになってしまった」といった事態に陥りやすくなります。台本は細かく書き込む必要はありませんが、伝えるべき「大まかな流れ」と「話すポイント」を事前に整理しておくことが重要です。また、画面に映す内容と話す内容をざっくりと箇条書きにまとめておくと、撮影中も迷わずスムーズに進めることができます。
動画作成の失敗例②:長すぎる(10分超え)と視聴者が飽きる
長い動画は視聴者の集中力が続きにくく、特にマニュアル動画の場合は「手順を素早く理解する」ことが目的となるため、1本あたり5分以内を目安にまとめることが大切です。内容が多い場合は、無理にすべてを詰め込もうとせず、「1動画1テーマ」を基本として動画を分けるようにしましょう。テーマごとに分けたシリーズ形式にすることで、視聴者も必要な情報だけを効率よく確認できるようになります。
動画作成の失敗例③:専門用語を多用してしまう
専門用語や社内用語を連発してしまうと、初心者の視聴者は内容を理解できずに途中で離脱してしまう可能性があります。どうしても専門用語を使う必要がある場合は、簡単な言葉で補足説明を加えたり、画面に注釈(テロップ)を入れたりして、視聴者の理解をサポートしましょう。常に「視聴者に『え?それって何?』と思わせないこと」を意識することが大切です。
動画作成の失敗例④:完璧を求めすぎて完成しない
完璧を目指しすぎるあまり、なかなか完成できないというのも初心者によくある落とし穴です。最初から完璧な動画を作ろうとすると、撮影や編集に時間がかかりすぎてしまい、結果的に完成までたどり着けないことも少なくありません。まずは「8割完成」で良いと割り切り、とにかく一度公開することを優先しましょう。公開後にフィードバックを受けて、必要に応じて改善を重ねることで、より良い動画に育てていくことができます。
より効果的な動画マニュアルにするコツ|品質を高めるために意識したいこと
せっかく動画マニュアルを作るなら、「見やすく」「理解しやすい」内容に仕上げたいですよね。
そのためには、視聴者の立場に立った工夫が欠かせません。以下のポイントを意識して、品質の高い動画マニュアル作成を目指しましょう。
最初に「全体の流れ」を簡単に説明する
いきなり細かい手順に入るのではなく、冒頭で「この動画では何をするのか」「どんな手順で進めるのか」をざっくり説明しましょう。
視聴者は全体像をイメージしながら動画を見ることができ、理解度がぐっと高まります。
ナレーションを活用する
操作の意図や背景、注意点などは、映像だけでは伝わりにくい場合もあります。
ナレーションを加えることで、映像を補完しながら、より正確に情報を伝えられます。
シンプルな表現を心がける
専門用語はできるだけ使わず、使う場合も簡単な言葉で補足しましょう。
難しい言い回しを避け、誰が見てもわかるシンプルな説明を心がけると、初心者にも親切な動画になります。
視線誘導を意識する
「今、どこを見ればいいのか」がわかるように、カーソルを動かしたり、矢印やハイライトを活用したりしましょう。
視線を自然に誘導することで、操作手順への理解が深まります。
繰り返しポイントを強調する
重要な手順やミスしやすいポイントは、一度だけでなく2回以上映したり、テロップで強調したりしましょう。
繰り返し目にすることで、自然と記憶に定着しやすくなります。
テキストのマニュアルと併用する
視聴者によっては、音声を出せない環境にいたり、動画を再生できない場合もあります。
そのため、動画マニュアルに加えて、同じ内容をテキストでもまとめたマニュアルを用意しておくと安心です。
併用することで、どんな環境のユーザーにも対応でき、マニュアルとしての完成度がさらに高まります。
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