業務マニュアルを作成する際、「どんな項目を入れればいいのか分からない」「どんな構成に迷っている」と悩む方は多いのではないでしょうか。業務マニュアルは、必要な項目を過不足なく整理することで、誰が読んでも理解でき、実務で使える資料になります。
本記事では、業務マニュアルに必ず入れておきたい基本項目から、運用をスムーズにするための構成のポイントまでを分かりやすく解説します。初心者の方はもちろん、既存マニュアルの見直しを検討している担当者にも役立つ内容です。
業務マニュアル作成で「何を書けばいいのか分からない」「構成に迷う」と感じている担当者向けに、必須項目と整理の考え方を体系的に解説した記事です。初心者でも迷わず作れる基本テンプレートから、職種別の項目の違い、使われるマニュアルにするための注意点まで網羅。新規作成はもちろん、既存マニュアルの見直しにも役立つ実践的な内容です。
業務マニュアルに入れるべき項目とは?初心者向けにわかりやすく解説
業務マニュアルの役割
業務マニュアルの最大の役割は、「誰が担当しても、一定の品質で業務を進められる状態を作ること」です。 人によってやり方が違ったり、担当者が変わるたびに説明が必要だったりする状況は、組織にとって大きな負担になります。
業務マニュアルがあれば、新入社員や中途入社のメンバー、あらたにその部署へ異動してきた人でも業務の全体像を理解しやすくなり、教育コストの削減にもつながります。また、担当者が不在のときでも業務が止まらないという「属人化の防止」にも効果的です。
項目の設計が「使われるマニュアル」を左右する理由
業務マニュアルが使われない原因の多くは「内容」ではなく「構成」にあります。 必要な情報がどこに書いてあるのか分からないと、読む側はストレスを感じ、次第にマニュアルから離れてしまいます。
項目が整理されているマニュアルであれば、「今、自分が知りたい情報」にすぐたどり着けます。そのため、現場で自然と使われるようになります。つまり、項目の設計は業務マニュアルの使いやすさを左右する重要な要素なのです。
項目が曖昧だと現場で混乱が起こる原因
項目が曖昧なマニュアルでは、手順と注意点が混在していたり、通常対応と例外対応の区別がつかなかったりします。結果、読む人によって解釈が分かれてしまい、ミスやトラブルの原因になります。
特に初心者にとっては、「どこまでが基本なのか」「これは必ず守るルールなのか」が分からないという状態は大きな不安につながります。だからこそ、項目を明確に分け、役割ごとに整理することが重要なのです。
業務マニュアルに必ず入れるべき基本項目一覧(テンプレ付き)
ここでは、業務マニュアルを作成する際に最低限入れておきたい基本項目を、順を追って解説します。
① 表紙・マニュアル名
表紙はマニュアルの入口です。マニュアル名が曖昧だと、「どの、何の業務のマニュアルなのか」が分からず、探すだけで時間がかかってしまいます。業務名だけでなく、対象者(新人向け、全社員向けなど)や最終更新日を明記しておくことより明確になります。
② マニュアルの目的
はじめに、このマニュアルが「何のために作られたのか」を示します。 目的が明確だと、読み手は「どこまでを理解すればよいのか」を把握しやすくなります。たとえば、「新人が一人で業務を進められるようになるため」なのか、「品質を統一するため」なのかで、読む姿勢も変わってきます。
③ 業務の全体フロー(図が望ましい)
いきなり細かい手順を説明する前に、業務全体の流れ=フローを示すことが大切です。 全体フローが分かると、「今どの工程を説明しているのか」が理解することができます。可能であれば、簡単な図やフロー図を入れると、文章だけよりも格段に分かりやすくなります。
④ 必要な道具・システム・前提知識
業務を始める前にどんな準備が必要なのかをまとめる項目です。具体的には道具、システムやツール、事前学習が必要な知識などです。 ここが抜けていると、「いざ作業を始めたのにそもそもツールが足りない」「権限がなくて進められない」といった無駄な手戻りが発生します。初心者目線で「これがないと困る」というものを洗い出しましょう。
⑤ 手順(ステップごとに番号をつける)
業務マニュアルの中核となる部分です。 一つひとつの手順はできるだけ細かく分け、番号を付けて順番を明確にします。「この通りに進めれば作業が完了する」というレベルを目指すのが理想です。
⑥ 注意点・禁止事項
手順とは別に、特に注意すべき点をまとめます。 ここでは「やってはいけないこと」や「失敗しやすいポイント」を明確にすることが重要です。注意点を独立した項目にすることで、読み手の意識に残りやすくなります。
⑦ 例外対応・トラブル時の対処
業務では必ず想定外のケースが発生します。 その際に「どう対応すればよいのか」を示すことで、現場の不安を減らせます。ただし、ここに情報を詰め込みすぎないこともポイントです。
⑧ よくある質問(FAQ)
実際の現場でよく出る質問をまとめた項目です。 問い合わせが多い内容を反映すると、マニュアルの実用性が一気に高まります。
⑨ 更新履歴・管理方法
マニュアルは運用しながら改善していくものです。 更新履歴を残しておくことで、「どこが変わったのか」が分かりやすくなり、混乱を防ぐことができます。
実務でよく使われる“追加すると便利な項目”

上記の基本項目だけでも業務マニュアルは成立しますが、実際の現場で「使いやすい」「助かる」と感じられるマニュアルには、もう一歩踏み込んだ項目があるとよいでしょう。ここでは、追加することで実務での活用度が大きく高まる項目を紹介します。
チェックリスト
チェックリストは、作業漏れや確認忘れを防ぐために非常に効果的な項目です。業務に慣れている人でも、繁忙期やイレギュラーな状況では、うっかり確認を飛ばしてしまうということがあります。
マニュアルの最後にチェックリストを設けておくことで、「ここまで確認した」という安心感が生まれます。また、作業完了の基準が明確になるため、上司や他部署との認識のズレも防ぎやすくなります。新人だけでなく、ベテランにとっても役立つ項目だといえます。
作業の目的・所要時間の目安
作業手順だけを淡々と説明したマニュアルは、「なぜこの作業が必要なのか」が分からず、形だけの作業になりがちです。 そこで役立つのが、作業の目的や背景、所要時間の目安を示す項目です。
作業の目的が分かると、多少状況が変わっても柔軟に対応できるようになります。また、所要時間の目安があれば、業務全体のスケジュールを立てやすくなり、無理のない業務配分にもつながります。
担当者・役割の明記
業務マニュアルを読んでいて、「ここから先は誰の仕事なのか分からない」と感じた経験はないでしょうか。 担当者や役割を明記することで、こうした疑問を防ぐことができます。特に複数人が関わる業務では、責任範囲が曖昧だとトラブルの原因になります。誰がどこまで担当するのかを明確にすることで、業務がスムーズに進みやすくなります。
関連マニュアル・関連資料へのリンク
すべての情報を1つのマニュアルに詰め込むと、どうしても分量が多くなってしまいます。
そこで有効なのが、関連マニュアルや資料へのリンクを設ける方法です。必要な情報に応じて別資料を参照できるという構成にしておくことで、基本のマニュアルそのものはシンプルに保つことができます。結果的に「探しやすく、読みやすい」構成になります。
動画マニュアル・画面キャプチャ
文章だけでは理解しにくい操作や動作については、動画や画面キャプチャが有効です。特にシステム操作や機械の扱い方などは、視覚情報があるだけで理解度が大きく変わります。最近では、簡単に動画を撮影・共有できる環境が整ってきているため、マニュアルに動画を組み合わせることもより便利になっています。
業務マニュアルの項目を整理する手順(初心者向け)
これから業務マニュアルを作る初心者の方に向けて、項目を整理する具体的な手順を解説します。最初から完璧な構成を作ろうとせず、段階的に整理していくことがポイントです。
STEP1 業務を分解して項目候補を棚卸し
まず、対象となる業務をできるだけ細かく分解して書き出します。この段階では、「これは項目に入れるべきかどうか」を深く考える必要はありません。実際に業務を行っている人にヒアリングしたり、自分が作業する様子を振り返ったりしながら、思いつく限りの作業や判断ポイントを洗い出しましょう。
STEP2 似た項目をグルーピングする
次に、書き出した項目を眺めながら、内容が似ているものをまとめていきます。この作業を行うことで、マニュアル全体の構造が少しずつ見えてきます。「これは準備に関する内容」「これは実作業」「これは注意点」といったように、大きな塊で整理するのがコツです。
STEP3 初心者が理解しやすい順序に並べる
項目を整理したら、次は並び順を考えます。 このときに大切なのは、「自分が分かる順番」ではなく、「初めて業務を行う人が理解しやすい順番」を意識することです。基本的には、「業務の全体像 → 準備 → 手順 → 注意点」という流れが理解しやすくなります。
STEP4 「目的→手順→注意点」の黄金構成に整える
最終的には、「なぜこの業務を行うのか」「どうやって進めるのか」「何に気をつけるべきか」という流れに整えます。この構成は多くの業務マニュアルで使われており、初心者にも非常に分かりやすい形です。
職種別に見る“業務マニュアルの項目の違い”
業務マニュアルに入れるべき項目は、どの職種でも共通する部分がある一方で、職種特有の事情によって重視すべきポイントが大きく異なります。すべてのマニュアルを同じ構成で作ろうとすると、「書いてはあるけれども、現場では使いにくい」という状態になりがちです。ここでは代表的な職種ごとに、業務マニュアルの項目設計で特に意識したい考え方を詳しく解説します。
事務・バックオフィスに必要な項目
事務職やバックオフィス業務の特徴は、「正確さ」と「再現性」が強く求められる点にあります。 誰が担当しても同じ書類が同じ基準で作成され、同じルールで処理されることが重要です。そのため、業務マニュアルでは単なる作業手順だけでなく、「なぜその処理が必要なのか」「どのルールに基づいているのか」といった背景情報もあわせて整理しておくと効果的です。
たとえば、経理業務であれば会計ルールや社内規定との関係、人事業務であれば法令との関係を簡単に補足しておくことで、担当者が判断に迷いにくくなります。また、事務業務は複数の工程や承認フローが絡むことが多いため、「どこで誰に引き渡すのか」「どの時点で確認が必要なのか」といった役割分担も項目として明確にすることも欠かせません。これにより、業務の停滞や確認漏れを防ぐことができます。
接客・サービス業に必要な項目
接客・サービス業の業務マニュアルでは、「対応の質をそろえること」が大きな目的になります。 接客は人によって個性が出やすい分、最低限守るべき基準や考え方を明確にしておかないと、サービス品質にばらつきが出てしまいます。
そのため、業務マニュアルには単なる作業の流れだけでなく、「どのような姿勢で対応するのか」「お客様にどう感じてもらいたいのか」といった方針や考え方を含めることが重要です。これにより、マニュアルが単なる作業指示書ではなく、現場判断を支える指針として機能します。
さらに、接客業ではイレギュラー対応が避けられません。クレーム対応や要望への応じ方など、正解が一つではない場面も多いため、「判断の軸」や「優先順位」を文章で丁寧に説明する項目があると、現場での不安を大きく減らすことができます。
医療・介護の現場特有の項目
医療・介護の現場では、業務マニュアルの役割が他の職種以上に重要になります。なぜなら、業務のミスが直接的に人の命や健康に影響する可能性があるからです。
この分野のマニュアルでは、通常業務の手順だけでなく、「やってはいけないこと」「注意すべきリスク」を明確に切り分けて記載します。 また、緊急時の対応や判断基準を項目として独立させておくことで、いざというときにも落ち着いて行動しやすくなります。さらに、医療・介護の現場では法令やガイドラインの遵守が求められるため、マニュアル内でそれらとの関係性を簡単に説明しておくことも有効です。
すべてを詳しく書く必要はありませんが、「この手順は○○のルールに基づいている」と分かるだけでも、現場の理解度は大きく向上します。
製造・物流の現場で押さえるべき項目
製造・物流の現場では、「安全」と「品質」の両立が重要なテーマになります。そのため、業務マニュアルの項目設計においても、作業効率だけでなく、安全確保の観点を強く意識する必要があります。
具体的には、作業手順とあわせて「なぜこの順番で行うのか」「順番を守らないと何が起こるのか」といった理由を補足することが効果的です。理由が分かることで、現場の理解が深まり、ルールが形骸化しにくくなります。
また、危険ポイントや注意事項を手順の中に埋もれさせず、あえて独立した項目として整理することで、読み手の注意を引きやすくなります。特に新人や経験の浅い作業者にとっては、こうした項目が事故防止の大きな助けになります。
業務マニュアルの項目を作るときの注意点
業務マニュアルは、「とにかく詳しく書けばよい」というものではありません。 むしろ、項目の作り方を間違えると、ただ情報量が多いだけで使われないマニュアルになってしまいます。ここでは、項目設計で特に注意したいポイントを解説します。
項目を増やしすぎて“読まれないマニュアル”にしない
マニュアル作成でよくある失敗が、「あれもこれも」と情報を詰め込みすぎてしまうことです。 結果として、ページ数が増え、必要な情報にたどり着くまでに時間がかかるマニュアルになってしまいます。特に初心者向けのマニュアルでは、まず基本業務に必要な項目を優先し、それ以外は補足や別資料として分ける方が、実務では使いやすくなります。
専門用語・略語を使いすぎない
業務に慣れている人にとっては当たり前の言葉でも、初心者には意味が分からないことは少なくありません。専門用語や略語を多用すると、それだけでマニュアルのハードルが上がってしまいます。どうしても使う必要がある場合は、簡単な説明を添えるか用語集としてまとめておくとよいでしょう。
例外対応を最初から書きすぎない
例外対応は重要ですが、最初から細かく書きすぎると基本業務が埋もれてしまいます。まずは通常の流れをしっかり理解してもらうことを優先し、例外対応は段階的に追加する方が効果的です。
更新しやすい項目体系にすることが重要
業務内容は時間とともに変化します。そのため、最初から「後で直すこと」を前提にした項目設計をしておくことが重要です。項目ごとに独立性を持たせておくことで、一部の修正が全体に影響しにくくなり、マニュアルを継続的に改善しやすくなります。
業務マニュアル作成を効率化するツール
業務マニュアル作成は、すべて手作業で行う必要はありません。適切なツールを活用することで、構成作りから更新管理までを効率化できます。
業務分解図ツールで項目作成が楽になる
業務マニュアル作成で最初につまずきやすいのが、「どんな項目が必要なのか分からない」という段階です。 このとき役立つのが、業務を視覚的に整理できる業務分解図・フローチャート系のツールです。
・Lucidchart(ルーシッドチャート)
無料プランでも基本的なフローチャートや業務フロー図を作成でき、業務の流れや工程を整理するのに十分な機能がそろっています。文章で考えるよりも、「業務の全体像 → 個々の作業」という流れが見えやすく、マニュアルの項目設計がスムーズになります。
・diagrams.net
こちらはアカウント登録なしでも利用でき、業務フロー図や構成図を手軽に作成できます。Googleドライブと連携すれば、図の保存や共有も簡単です。これらのツールを使って業務を図解しておくと、「この流れごとに1章を作ろう」「ここは注意点として独立させよう」といった形で、マニュアルの項目を論理的に整理しやすくなります。
マニュアル作成ツール(自動レイアウト・テンプレート)
文章構成に不慣れな場合は、テンプレートを活用できるツールを使うことで、マニュアル作成のハードルを大きく下げられます。以下は「マニュアル専用ツール」ではありませんが、テンプレートを工夫することで、実用的な業務マニュアルを運用できます。
・Googleドキュメント
もっとも身近で無料で使えるツールのひとつです。見出し機能を使えば、業務マニュアルに適した階層構造を簡単に作ることができ、テンプレートを用意しておけば、誰が書いても同じ構成でマニュアルを作成できます。
・Notion
無料プランでもマニュアル作成に十分対応できます。Notionはページ単位で情報を整理できるため、「業務ごと」「部署ごと」にマニュアルを分けて管理するのに向いています。見出し、チェックリスト、画像挿入などを直感的に組み合わせられる点も魅力です。
動画・画像を簡単に挿入できるツール
システム操作や現場作業の説明では文章だけでなく画像や動画を使うのが効果的です。
・Snipping Tool(Windows標準)/ macOSのスクリーンショット機能
これらを使って画面をそのまま切り取ってマニュアルに貼り付けるだけでも、説明の分かりやすさは大きく変わります。
・OBS Studio
無料でも使える画面録画ツールで、PC画面の操作を録画し、システム操作マニュアルや手順説明動画を作成できます。作成した動画は、GoogleドライブやYouTube(限定公開)にアップロードし、マニュアルからリンクする形で運用すると管理しやすくなります。
NotionやGoogleドキュメントと組み合わせると、文章+画像+動画を一体化した分かりやすい業務マニュアルを作成できます。
バージョン管理・共有が簡単なクラウドツール
複数人でマニュアルを管理・更新する場合、クラウドツールは欠かせません。
・Googleドライブ(Googleドキュメント)
編集履歴が自動で保存され、誰がいつどこを修正したのかが分かるため、「最新版が分からない」という問題が起きにくくなります。
・Notion
無料プランでも複数人共有が可能で、検索機能が強いため「あのマニュアルどこだっけ?」という状況を防ぎやすくなります。 マニュアルをナレッジベースとして蓄積していきたい場合に特に向いています。
さらに、ファイル管理だけであれば Dropbox(無料プラン) などを併用することで、PDF化したマニュアルの配布や保存も簡単に行えます。
業務マニュアルの項目設計が“使いやすさ”を決める
業務マニュアルの価値は「どれだけ丁寧に項目設計されているか」で大きく変わるという点です。
まずは基本項目だけでOK
最初からすべてを盛り込む必要はありません。 基本項目がしっかりしていれば、マニュアルとしての役割は十分果たせます。
後から追加すればよい
実際に運用してみると、「ここが分かりにくい」「この項目が欲しい」といった声が出てきます。 それらを反映しながら少しずつ改善していくことが使われ続けるマニュアルへの近道です。
項目設計のコツは“シンプルに始めること”
業務マニュアル作成で迷ったときは、「これは本当に必要か?」と問い直してみてください。 シンプルに始めて現場に合わせて育てていく。その姿勢こそが、実務で役立つ業務マニュアルを作る最大のコツです。

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