営業資料は、ただ情報を並べるだけの「説明書」ではありません。商談の成否を左右する“意思決定の引き金”として、顧客の課題に寄り添い、共感を呼び、行動を促す役割を担っています。しかし、「何を、どう伝えるべきか」「構成やデザインに正解はあるのか」と悩む方も多いはず。

本記事では、成果につながる営業資料の作り方を、構成設計・伝え方・デザイン・ページ数や色使いのルールに至るまで、実務に活かせる視点でわかりやすく解説します。これから資料をつくる方はもちろん、既存資料の見直しを検討している方にも役立つ内容です。

営業資料の作り方とは?重要性と基本構成

営業資料とは、営業担当者が商談や提案の場で使用する「伝えるための武器」です。自社の製品やサービスの価値をわかりやすく、魅力的に伝え、顧客の納得や共感、最終的な意思決定を後押しする役割を担います。

特に現代の営業においては、顧客側が事前にインターネットなどで情報収集を済ませていることも多く、単なる「商品説明資料」では見向きもされません。だからこそ営業資料には、「なぜこの商品なのか」「それが自分たちにどんなメリットをもたらすのか」といった“納得感”を生む構成と伝え方が求められます。

さらに営業資料は、現場担当者が上司や決裁者に提案内容を持ち帰って説明する際の判断材料にもなります。つまり、営業担当者が直接プレゼンできない“場面”でも、代わりに価値を伝える存在として機能しなければなりません。

営業資料の良し悪しは、商談の結果に直結します。情報が整理されておらず、伝えたいポイントがぼやけている資料では、どれほど優れたサービスでも価値が伝わらず、チャンスを逃しかねません。逆に、よく設計された営業資料は、営業担当者の説明力を補完し、限られた時間の中で信頼を勝ち取る力を持っています。

では、成果に結びつく営業資料にはどのような要素が必要なのでしょうか?基本構成としては、以下のような流れが一般的です。

  1. 表紙(タイトル・キャッチコピー・ロゴ)
  2. 顧客の課題やニーズの明確化
  3. 課題に対する自社の解決策
  4. 製品やサービスの詳細な紹介
  5. 導入事例や顧客の声
  6. 導入までのフロー
  7. 料金体系やプラン
  8. よくある質問(FAQ)
  9. 会社情報
  10. お問い合わせ情報

このような構成で、「問題提起 → 解決策提示 → 信頼の補強 → 行動促進」とストーリー立てて展開することで、営業資料は単なる説明資料から「相手を動かす提案ツール」へと進化します。

営業資料の構成:10~15ページで伝えるストーリー設計

営業資料は、ただ情報を羅列するものではなく、相手の理解と共感を引き出し、行動につなげる“ストーリー”として設計する必要があります。効果的な資料は、ページごとに明確な役割を持ち、それぞれが「気づき → 納得 → 信頼 → 行動」という流れで顧客の心理を自然に動かす構成になっています。

おすすめのページ構成は、10〜15ページ程度。これは、要点をしっかり伝えながらも、冗長にならず、商談の限られた時間内で説明しやすいボリュームです。以下はその代表的な流れです。

項目ポイント
表紙(タイトル・キャッチコピー・ロゴ)第一印象を決める。短く強いメッセージとビジュアルで引きつける
顧客の課題やニーズの明確化顧客の共感を得るために、具体的な課題や背景を描写する
課題に対する自社の解決策顧客の課題をどう解決するのか、わかりやすく簡潔に伝える
製品やサービスの詳細な紹介機能よりもメリットにフォーカスして、顧客に響く言葉で表現する
導入事例や顧客の声実績や成功例で信頼性を高め、導入後のイメージを持たせる
導入までのフロー導入ステップを明確にし、不安や不透明感を払拭する
料金体系やプラン価格の妥当性や選択肢を示し、安心して検討できる材料にする
よくある質問(FAQ)事前の疑問を解消し、資料だけで判断できる情報を提供する
会社情報信頼感を与えるために、必要最低限かつ正確な情報を掲載する
お問い合わせ情報すぐにアクションできるよう、問い合わせ方法を明示する

このように、営業資料は単に情報をまとめるものではなく、「読み手の行動を後押しするナビゲーター」としての役割を果たす構成にすることが肝心です。一貫したストーリーとリズム感のある流れを意識することで、説得力が格段に向上します。

営業資料のデザイン:3色で魅せるビジュアルの工夫

営業資料において、デザインは「読む気にさせる力」を持っています。どれほど内容が素晴らしくても、見た目が読みにくければ相手に届かず、最後まで読まれない可能性が高まります。だからこそ、視覚的な設計=デザインにも戦略が必要です。

色の使い方は「3色」が基本

営業資料のデザインでは、使用する色を3色以内に抑えるのが基本です。

  • メインカラー(約70%):ブランドカラーや伝えたい印象に合わせた軸となる色。ページ全体の統一感を演出します。
  • サブカラー(約25%):メインカラーを引き立てる補助色。見出しやアイコン、図解の強調に使います。
  • アクセントカラー(約5%):強調したいキーワードや重要ポイントにだけ使う色。視線誘導の役割を果たします。

色数を増やしすぎると雑多な印象を与え、情報の優先順位が伝わらなくなります。限られた色で視覚的に整理された資料こそ、プロらしく、信頼を与えるものになります。

余白・フォント・図解の工夫

色だけでなく、以下のようなビジュアル要素も資料全体の印象に大きく影響します。

  • 余白を恐れない:情報を詰め込みすぎると読む意欲を奪ってしまいます。1スライド1メッセージを意識し、余白をうまく使って呼吸感をつくりましょう。
  • フォントは見やすく統一感のあるものを選ぶ:明朝体や装飾文字は避け、ゴシック体など読みやすいフォントを基本に、大小や太字でメリハリをつけると効果的です。
  • 図解や写真を積極的に使う:文章だけでは伝わりにくい内容も、図や写真を活用することで直感的に理解してもらえます。グラフやフローチャートも活用し、「パッと見て分かる」資料を意識しましょう。

CanvaやPowerPointでもプロのように仕上がる

近年では、CanvaやPowerPointといったデザインツールの進化により、誰でも簡単にプロ品質の営業資料を作成できるようになっています。テンプレートを活用し、ブランドカラーやフォントを統一することで、デザインの経験がなくても一貫性と見栄えの良い資料を短時間で仕上げることが可能です。

さらに、営業資料の作成をAIが支援してくれるツールも登場しています。例えば、GANMAは質問に答えるだけで構成案を提示し、スライドを自動生成してくれる資料特化型のAIサービスです。SlidesGPTのように、ChatGPTを活用してテーマに沿った構成や文案を生成してくれるツールもあり、構想段階から完成までを効率的にサポートしてくれます。

こうしたツールを活用すれば、営業担当者は資料作成にかかる時間を大幅に削減でき、本来注力すべき“顧客理解”や“提案内容の質”に集中することができます。

営業資料の伝え方:機能ではなくメリットを訴求する

営業資料を作成する際、やってしまいがちな失敗のひとつが「自社のサービスや商品の機能を一方的に説明する」ことです。もちろん、機能の説明は重要です。しかし、本当に顧客の心を動かすのは“その機能で得られるメリット”です。

機能説明は「自分目線」、メリット訴求は「相手目線」

例えば、以下のような違いを見てみましょう。

  • NG例:「このツールは自動分析機能を搭載しています」
  • OK例:「煩雑な集計作業が自動化され、レポート作成の時間が1/3になります」

前者は“機能”の説明にとどまっていますが、後者はその機能がもたらす“成果・効果”を明確に伝えています。営業資料では、顧客がサービスを利用した未来の姿=ビフォーアフターを描くことが大切です。

「誰の」「どんな課題を」「どう変えるか」を明示する

顧客の関心は常に「自分にとってどう役立つか」にあります。したがって、次の3点をセットで語ることで、より納得感のある訴求が可能になります。

  1. 誰が(業種・役職・利用者)
  2. どんな課題を抱えていて
  3. どう変わるのか(効果・成果・感情)

例えば、「人事部門のマネージャーが評価制度の見直しに悩んでいたが、このツールの導入によって社員の納得度が大幅に上がった」といったストーリー仕立てで語ると、より記憶に残る資料になります。

感情に訴えるフレーズで差別化を

理屈だけでは人は動きません。数字や実績に加え、「安心」「誇り」「ワクワク」といった感情に訴える言葉を添えることで、資料の印象が変わります。

例えば、「導入企業の95%が業務時間を削減」と伝えるだけでなく、「“もっと早く導入すればよかった”という声もいただいています」といった一文を加えることで、資料全体が生きた提案になります。

営業資料の作成ポイント:情報を詰め込みすぎない工夫

営業資料を作成する際、多くの担当者が「なるべく多くの情報を載せなければ」と考えがちです。しかし、情報量が多ければ伝わるわけではありません。むしろ、詰め込みすぎた資料は読みにくくなり、相手に「読む気が起きない」と思わせてしまうリスクがあります。

「1スライド1メッセージ」が基本

効果的な営業資料に共通する鉄則は、1スライドにつき1つのメッセージに絞ることです。例えば、製品の特徴・料金・導入事例などを1枚に詰め込むと、どれが本当に伝えたい内容なのかがわかりづらくなります。スライドごとに「このページでは何を伝えたいか?」を明確にし、情報の優先順位をつけることで、資料全体の伝達力が高まります。

余白は“余計”ではなく、“呼吸”である

多くの人が「空白=無駄」と捉えがちですが、実は余白は情報を整理し、視線を導くための重要なデザイン要素です。余白があることで、読み手の視線が自然とメッセージに集まり、視認性がぐっと高まります。また、詰め込みすぎた資料は“焦り”を与えますが、余白を生かした資料は“安心感”や“洗練された印象”を与えることができます。

情報の取捨選択は「読み手目線」で行う

「これは伝えておきたい」「これも重要な機能だ」と、発信者目線で情報を増やしてしまうのはよくある失敗です。しかし、営業資料は受け手が理解しやすく、行動を起こしやすいことが何よりも大切です。自分たちが言いたいことではなく、「相手が知りたいこと・比較したいこと・意思決定に必要なこと」に絞って整理しましょう。

例えば、製品のすべてのスペックを記載するのではなく、顧客の業界や役職に合わせて“相手にとってのメリット”を中心にカスタマイズすることで、伝わり方は大きく変わります。

営業資料作成の代行サービスを利用する方法|外注のメリットと選び方

営業資料の作成に課題を感じている企業にとって、プロの代行サービスを活用することは非常に有効な手段です。限られたリソースで質の高い資料を短期間で整える方法として、近年ますます注目を集めています。

営業資料作成代行とは?

営業資料作成代行サービスとは、自社の営業方針や商材の特徴をヒアリングした上で、専門のクリエイターやディレクターが成果に直結する資料を設計・制作してくれるサービスです。情報設計から文章構成、デザインに至るまで一貫して対応することが多く、手間をかけずに高品質な資料を手に入れることができます。

利用するメリット

こうしたサービスを利用することで、営業資料の質が一定に保たれ、担当者によって提案内容にばらつきが出るリスクを減らすことができます。また、営業担当者が資料作成に費やしていた時間を削減できるため、本来の業務である顧客対応や提案活動に集中しやすくなります。さらに、プロによる構成と表現によって、購買心理に沿ったわかりやすい資料ができあがり、成約率の向上も期待できます。

サービス選定のポイント

代行サービスを選ぶ際は、自社の営業スタイルや業界に対する理解度が高いかどうかを重視する必要があります。過去の制作実績や資料のサンプルを確認することで、完成イメージを掴みやすくなります。また、納品までのスピード感や、修正・改善にどの程度柔軟に対応してもらえるかも、選定時の大切な判断材料となります。

費用感と納期の目安

料金はサービス内容や資料のボリュームによって異なりますが、一般的にはA4スライド10枚程度の営業資料で5万円から20万円程度が相場です。納期については1〜2週間が標準的な目安とされていますが、構成の複雑さや社内確認フローによって前後する場合があります。

営業資料作成の成功ポイント

営業資料は、単なる「会社案内」や「製品カタログ」ではありません。顧客に寄り添い、信頼を築き、最終的な意思決定を後押しする戦略的なコミュニケーションツールです。だからこそ、作り方には明確な目的と設計が必要です。

この記事では、営業資料の作り方において押さえておくべき7つのポイントをご紹介しました。

まず大前提として、資料のゴールは“伝える”ではなく“伝わる”ことです。顧客の課題に共感し、解決策として自社の価値を提示し、読み手が「自分ごと」として受け止められる構成と流れを設計しましょう。

また、10~15ページ程度に情報を絞り込むことで、説明に最適なボリューム感を保ちつつ、要点を明確に伝えられます。そして、使う色は3色程度に抑え、余白やフォント、レイアウトに工夫を加えることで、資料全体の印象と読みやすさが大きく向上します。

さらに、サービスの機能ではなく、顧客が得られるメリット=ベネフィットにフォーカスすることも忘れてはいけません。商品説明ではなく、「この資料を読んだら買いたくなる」と思わせる“提案型”の資料を目指しましょう。

最後に、情報は詰め込みすぎず、「1スライド1メッセージ」を基本に、顧客がスムーズに理解できるよう整理してください。営業資料は、営業担当者の話し方や熱意を支える“設計図”であり、“沈黙しても伝わる営業マン”ともいえる存在です。

このガイドを参考に、読み手の心を動かす営業資料づくりにぜひ取り組んでみてください。

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