フローチャートにおける繰り返しの表現は、同じ確認や作業を複数回行う業務の流れを、わかりやすく整理するために重要です。

この記事では、業務マニュアルに掲載するフローチャートで、繰り返し作業をどのように表現すればよいのかを解説します。条件を確認してから作業に進む流れや、作業後に再確認する流れなど、実務で使いやすい書き分け方を具体例とあわせて紹介します。

「確認が完了するまで繰り返す」「不備があれば修正に戻る」「対象者や書類ごとに同じ作業を行う」といった業務を、読み手に伝わる形で整理したい方は、ぜひ参考にしてください。

繰り返し処理の書き方を押さえることで、マニュアル内のフローチャートがより正確で、現場でも迷わず使えるものになります。

目次(開く場合はクリック)

フローチャートにおけるループ(繰り返し)処理の基本

フローチャートにおけるループ(繰り返し)処理とは、特定の条件が満たされるまで、あるいは指定された回数だけ、一連の処理を反復して実行する流れを意味します。
同じ手順を何度も記述する必要がなくなり、処理の構造を簡潔かつ分かりやすく表現できます。
このループ構造を正しく図示することが、フローチャート作成の重要なポイントの一つです。

フローチャートで繰り返し処理を表現する重要性

業務マニュアルにおいて、繰り返し作業を正しく表現することは、読み手が業務の流れを迷わず理解するために重要です。

実務では、「不備がなくなるまで確認する」「対象者ごとに同じ作業を行う」「承認が得られるまで修正を繰り返す」など、同じ確認や作業を何度も行う場面があります。こうした流れをフローチャートで整理することで、どの条件で作業を続けるのか、どの状態になれば次の工程へ進めるのかを明確にできます。

また、繰り返し作業を図で可視化することで、作業の抜け漏れや判断ミスを防ぎやすくなります。マニュアルを読む人によって解釈が分かれにくくなり、担当者間での認識のズレを減らすことにもつながります。

さらに、同じ作業が何度も発生している箇所を明確にすることで、業務のムダや改善すべきポイントも見つけやすくなります。そのため、繰り返し作業を適切にフローチャートへ落とし込むことは、わかりやすいマニュアル作成だけでなく、業務改善の観点からも重要です。

ループ処理が用いられる代表的な3つのケース

繰り返し作業が発生する代表的なケースには、主に3つのパターンがあります。

1つ目は、複数の対象に対して同じ作業を順番に行うケースです。たとえば、対象者リストに載っている利用者へ順番に連絡する、複数の申請書類を1件ずつ確認する、といった業務が該当します。

2つ目は、一定の条件を満たすまで同じ作業を繰り返すケースです。たとえば、必要書類がすべて揃うまで確認を続ける、承認が完了するまで修正・再提出を行う、といった流れです。

3つ目は、入力内容や提出物に不備がないかを確認し、問題がある場合は修正や再提出を求めるケースです。たとえば、申請内容に漏れがあれば差し戻す、記入内容に誤りがあれば修正してもらう、といったチェック業務が該当します。

このような繰り返し作業をフローチャートに落とし込むことで、「どの条件で作業を続けるのか」「いつ次の工程へ進むのか」が明確になり、マニュアルを読む人が業務の流れを理解しやすくなります。

フローチャートのループを表す2種類の記号と書き方

業務マニュアルのフローチャートで繰り返し作業を表現する方法には、主に2種類あります。

一つは、繰り返す範囲を明確に示すための「反復端子」を使う方法です。もう一つは、条件を確認する「分岐記号」を使い、条件に応じて同じ作業へ戻る方法です。

どちらを使うかは、繰り返す回数があらかじめ決まっているか、条件によって繰り返すかによって変わります。マニュアルでは、読み手が「どこからどこまでを繰り返すのか」「どの状態になれば次へ進めるのか」を迷わず理解できるように書き分けることが重要です。

【回数指定】ループ専用記号(反復端子)を使った表現方法

繰り返す回数や対象数があらかじめ決まっている場合は、反復端子を使って表現します。

たとえば、「対象者リストに載っている全員に連絡する」「10件の申請書を順番に確認する」「各店舗から提出された資料を1件ずつ確認する」といった業務です。

この場合、繰り返しの開始位置と終了位置がわかるように反復端子を配置し、端子の中には「対象者リスト全員分」「全申請書の確認が終わるまで」「各店舗分を順番に確認」など、業務上わかりやすい表現を記載します。

反復端子を使うことで、どの範囲の作業を繰り返すのかが一目でわかり、作業対象の抜け漏れを防ぎやすくなります。

【条件指定】分岐記号(ひし形)を使った表現方法

繰り返す回数が決まっておらず、条件によって作業を続けるかどうかを判断する場合は、分岐記号を使って表現します。

たとえば、「必要書類がすべて揃っているか」「申請内容に不備がないか」「上長の承認が完了しているか」といった確認が該当します。

分岐記号の中には、「書類はすべて揃っているか?」「不備はないか?」「承認済みか?」のように、Yes/Noで判断できる条件を記載します。条件を満たしていない場合は、修正・再提出・再確認などの作業へ戻り、条件を満たした場合に次の工程へ進む流れにします。

この方法は、確認や承認、不備対応など、実務で発生しやすい繰り返し作業を表現する際に使いやすい書き方です。マニュアル内では、判断条件と戻り先を明確にすることで、読み手が次に何をすべきかを理解しやすくなります。

【使い分け】ループ記号と分岐記号はどちらで書くべきか

業務マニュアルのフローチャートで繰り返し作業を表現する場合、反復端子を使う方法と、分岐記号を使う方法があります。

どちらを使うべきかは、繰り返す回数や対象があらかじめ決まっているか、確認結果によって作業を続けるかどうかで変わります。
また、マニュアルを読む人が理解しやすいかどうかも重要です。

記号の使い分けに迷った場合は、「作業範囲を明確に見せたいのか」「判断条件を明確に見せたいのか」を基準にすると整理しやすくなります。

繰り返す対象や回数が明確な場合は反復端子が便利

「対象者リストに載っている全員に連絡する」「10件の申請書を順番に確認する」「各店舗から提出された資料を1件ずつ確認する」など、繰り返す対象や回数があらかじめ決まっている場合は、反復端子を使うとわかりやすくなります。

反復端子を使うことで、どこからどこまでが繰り返し作業なのかを視覚的に示せます。
そのため、マニュアルを読む人が「この範囲を対象者分だけ繰り返せばよい」と理解しやすくなります。

対象が明確な定型業務や、同じ手順を複数件に対して順番に行う業務では、反復端子を使うとフローチャート全体をすっきり整理できます。

条件によって戻り先が変わる場合は分岐記号が使いやすい

「書類に不備があるか」「承認が完了しているか」「必要情報が揃っているか」など、確認結果によって次の対応が変わる場合は、分岐記号を使うのが適しています。

分岐記号を使うと、Yes/Noの判断に応じて「次の工程へ進む」「修正・再提出・再確認へ戻る」といった流れを明確に表現できます。

特に、確認・承認・差し戻し・再提出などが発生する業務では、分岐記号を使うことで、読み手が「どの状態なら進めるのか」「どの状態なら戻るのか」を判断しやすくなります。

社内ルールやマニュアル全体の表記に合わせることが重要

反復端子と分岐記号のどちらを使う場合でも、最も重要なのはマニュアル全体で表記を統一することです。

同じような繰り返し作業に対して、ページごとに異なる記号や書き方を使うと、読み手が混乱しやすくなります。
そのため、社内でフローチャートの作図ルールがある場合は、そのルールに従って記載します。

明確なルールがない場合でも、「対象や回数が決まっている場合は反復端子」「条件判断によって戻る場合は分岐記号」のように、マニュアル内で基準を決めておくと、読み手にとってわかりやすいフローチャートになります。

【具体例で解説】ループ処理の書き方パターン3選

ここでは、実際のフローチャートでループ処理をどのように記述するのか、具体的な3つのパターンを例に挙げて解説します。
条件を判定するタイミングや、ループを組み合わせる際の構造の違いを理解することで、より複雑な処理の流れも正確に図示できるようになります。
それぞれのパターンの特徴を掴み、自身の作成するフローチャートに応用してください。

パターン1:処理の前に条件を判定する「前判定ループ」のフロー

このパターンは、作業を始める前に「作業を実施してよい条件を満たしているか」を確認する流れです。

まず条件を確認し、条件を満たしている場合のみ作業を実行します。作業が終わったら、再度条件確認に戻り、必要に応じて同じ作業を繰り返します。

一方で、最初の確認時点で条件を満たしていない場合は、作業を実施せずに次の工程へ進みます。

たとえば、「未対応の申請が残っている場合だけ確認作業を行う」「対象者がいる場合のみ連絡を行う」といった業務に向いています。

パターン2:処理の後に条件を判定する「後判定ループ」のフロー

このパターンは、まず作業を1回実施し、その後に「繰り返しが必要か」を確認する流れです。

最初に作業を行い、その結果を確認します。条件を満たしている場合は、再度同じ作業に戻ります。条件を満たしていない場合は、繰り返しを終了して次の工程へ進みます。

この形式では、作業が必ず1回は実施される点が特徴です。

たとえば、「入力後に内容を確認し、不備があれば修正を繰り返す」「チェック後に未完了項目があれば再対応する」といった業務に向いています。

パターン3:ループ処理を入れ子構造にする「二重ループ」のフロー

このパターンは、ある繰り返し作業の中に、さらに別の繰り返し作業が含まれる流れです。

たとえば、複数の部署に対して確認を行い、各部署ごとに複数の書類を確認する場合などが該当します。
外側の流れでは「部署ごとの確認」を繰り返し、内側の流れでは「書類ごとの確認」を繰り返します。

フローチャートでは、外側の繰り返し処理の中に、内側の繰り返し処理を配置して表現します。

確認対象や作業対象が複数あり、それぞれに対して同じ手順を繰り返す業務を整理する際に有効です。

フローチャートで繰り返し作業を分かりやすく書くための3つのコツ

業務マニュアルにおけるフローチャートでは、繰り返し作業の書き方が複雑になると、読み手が業務の流れを追いにくくなります。

特に、「どこから繰り返すのか」「どの条件で次の工程へ進むのか」「不備があった場合にどこへ戻るのか」が曖昧だと、担当者によって判断が分かれたり、確認漏れが発生したりする可能性があります。

そのため、繰り返し作業をフローチャートに入れる際は、読み手が迷わず理解できるように、条件・戻り先・図の見やすさを意識して作成することが重要です。ここでは、マニュアル内のフローチャートを分かりやすく整理するための3つのコツを紹介します。

コツ1:ループが開始・終了する条件を誰でも分かるように明記する

繰り返し作業では、「どの条件で作業を続けるのか」「どの状態になれば次の工程へ進むのか」を明確にすることが重要です。

たとえば、「必要書類がすべて揃うまで確認する」「不備がなくなるまで修正を依頼する」「対象者全員への連絡が完了するまで繰り返す」など、業務上の判断基準が読み手に伝わる表現にします。

分岐記号の中には、「書類はすべて揃っているか?」「不備はないか?」「対象者全員に連絡済みか?」のように、Yes/Noで判断できる形で記載すると分かりやすくなります。

記号の中に書ききれない場合は、フローチャートの近くに補足説明を入れ、判断基準や注意点を明記しておくと、読み手の誤解を防ぎやすくなります。

コツ2:処理の矢印が交差しないように配置を工夫する

フローチャートでは、矢印の流れが複雑になると、読み手がどの順番で作業すればよいのか分かりにくくなります。

特に繰り返し作業では、前の工程に戻る矢印が発生するため、他の線と交差しやすくなります。矢印が何本も重なったり、交差したりすると、戻り先を誤って理解する原因になります。

そのため、繰り返し作業を含むフローチャートでは、記号同士の間隔を広めに取り、戻りの矢印はできるだけ外側を通すように配置します。また、1つの図に多くの情報を詰め込みすぎず、必要に応じて工程を分けて図示することも有効です。

読み手が上から下、または左から右へ自然に流れを追えるように整えることで、マニュアルとしての分かりやすさが高まります。

コツ3:図形やツールを使って見やすく整える

業務マニュアルに掲載するフローチャートは、内容だけでなく見た目の読みやすさも重要です。

手書きや簡易的な図では、線のずれや文字の読みにくさによって、業務の流れが正しく伝わらない場合があります。そのため、Word、Excel、PowerPointなどの図形機能や、フローチャート作成ツールを使って清書すると、記号の大きさや配置を整えやすくなります。

特にマニュアルでは、同じ意味の記号は同じ形・同じサイズで統一し、矢印の向きや線の太さも揃えることが大切です。ページごとに見た目が変わらないようにテンプレート化しておくと、マニュアル全体の読みやすさも向上します。

フローチャートを清書する際は、見栄えを整えるだけでなく、読み手が「次に何をするのか」「どこで判断するのか」「どこへ戻るのか」をすぐに理解できる状態を目指しましょう。

フローチャートのループに関するよくある質問

ここでは、業務マニュアルに掲載するフローチャートで、繰り返し作業を表現する際によくある疑問や、間違いやすいポイントについて解説します。

繰り返し作業は、書き方を誤ると「どこまで戻るのか」「いつ次の工程へ進むのか」が分かりにくくなります。読み手が迷わず業務を進められるよう、表記ルールや条件の書き方を押さえておきましょう。

終了条件がない繰り返し作業は、フローチャートでどのように表現しますか?

業務マニュアルでは、終了条件がない繰り返し作業は基本的に避けるべきです。

たとえば、「確認する」「修正する」「再確認する」という流れがあっても、どの状態になれば次の工程へ進めるのかが書かれていないと、読み手は作業を終える判断ができません。

そのため、フローチャートでは必ず「不備がなくなったら次へ進む」「承認されたら完了」「対象者全員への連絡が完了したら終了」など、繰り返しを抜ける条件を明記します。

もし現場で同じ作業を何度も繰り返している場合でも、マニュアル化する際には「何をもって完了とするのか」を整理してから記載することが重要です。

反復端子と分岐記号のどちらを使うのがよいですか?

業務マニュアルでは、読み手にとって分かりやすい表現を選ぶことが重要です。

繰り返す対象や回数が明確な場合は、反復端子を使うと整理しやすくなります。たとえば、「対象者リスト全員に連絡する」「申請書を1件ずつ確認する」といった業務では、どの範囲を繰り返すのかが分かりやすくなります。

一方で、「不備があるか」「承認済みか」「必要書類が揃っているか」など、確認結果によって戻るか進むかが変わる場合は、分岐記号を使うと伝わりやすくなります。

どちらを使う場合でも、マニュアル全体で表記を統一することが大切です。ページごとに記号の使い方が変わると、読み手が混乱しやすくなるため、あらかじめ作図ルールを決めておくと安心です。

繰り返し作業の中に、さらに条件分岐を入れてもよいですか?

はい、可能です。

業務の流れによっては、繰り返し作業の中にさらに判断が必要になる場合があります。たとえば、複数の申請書を順番に確認する中で、「不備がある場合は差し戻す」「不備がない場合は承認依頼へ進む」といった分岐を入れるケースです。

ただし、分岐が多くなりすぎると、フローチャート全体が複雑になり、読み手が流れを追いにくくなります。その場合は、1枚の図にすべてを詰め込まず、工程ごとに分けて図示することも有効です。

マニュアルでは、複雑な業務を正確に表現することも大切ですが、それ以上に「読み手が迷わず実行できるか」を意識して整理することが重要です。

まとめ

業務マニュアルのフローチャートで繰り返し作業を表現する場合は、繰り返す対象や回数が決まっている場合に使いやすい「反復端子」と、確認結果によって戻るか進むかを示しやすい「分岐記号」を使い分けます。

大切なのは、記号そのものを正しく使うことだけではありません。読み手が「どこからどこまでを繰り返すのか」「どの条件で次へ進むのか」「不備があった場合はどこへ戻るのか」を理解できるように整理することです。

また、マニュアル全体で記号や矢印の書き方を統一し、必要に応じて補足説明を加えることで、業務の流れがより伝わりやすくなります。フローチャートは、単なる図ではなく、読み手が業務を再現するための重要な案内図として作成しましょう。

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