「業務効率化を進めたいけれど、成果が見えづらい…」そんな悩みを抱えていませんか?
効率効率化の取り組みは、感覚や雰囲気だけでは成果が伝わりづらく、「本当に改善できているのか?」「どこに課題があるのか?」を判断するのが難しくなります。その際重要になるのが、業務効率化の“数値化”です。業務にかかる「時間」や「コスト」、「処理件数」などを数値として可視化することで、現場の問題点を明確にし、改善の効果も定量的に検証できるようになります。さらに、経営層や他部署との認識をそろえる“共通言語”としても機能します。
この記事では、業務効率化に数値化が必要な理由から、数値化に使える指標、実践ステップ、ツール、成功事例、そして注意点までを網羅的に解説します。「業務効率化 数値化」を実現し、納得感のある改善を行いたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ業務効率化に「数値化」が必要なのか
業務効率化を進める上で、「どこが非効率なのか」「改善によりどれだけ効果が出たのか」を明確に把握することは不可欠です。これを可能にするのが、数値による可視化です。ここでは、業務効率化における数値化の3つの重要な役割を紹介します。
業務効率化については【図解でわかる】生産性向上と業務効率化の違いとは?意味・目的・施策を徹底比較!の記事もご覧ください。
感覚ではなく客観的に判断するため
「なんとなく時間がかかっている」「たぶん工数が減ったと思う」
こうした感覚的な判断では、改善の方向性がブレてしまいます。数値化によって、作業時間や件数などを客観的に把握すれば、属人的な評価を避け、明確な根拠に基づいて施策の優先順位を決めることができます。
改善効果の可視化・検証ができる
効率化施策を行った後に「何がどれだけ良くなったのか?」を定量的に示せないと、次の改善につなげることができません。数値をもとにビフォー・アフターを比較することで、成功・失敗の要因を検証し、より効果的な改善サイクルを回せるようになります。
経営層・現場との共通言語になる
業務の現場と経営層では、課題に対する視点や認識にズレが生じがちです。しかし、数値という客観的な指標があれば、共通言語として双方の認識をそろえることができます。たとえば「月次処理のリードタイムが30%短縮された」といった具体的な成果を示せば、現場の取り組みが組織全体に正しく評価されやすくなります。
業務効率を数値化する3つの基本指標
業務効率化を数値で捉えるには、何を測るか=「指標選び」が重要です。ここでは、どの業種・職種でも応用しやすい3つの基本指標をご紹介します。
① 時間(作業時間・リードタイムなど)
もっとも基本的で効果が見えやすい指標が「時間」です。
- 各作業にかかる平均作業時間
- プロセス全体のリードタイム(開始から完了までの所要時間)
- 待ち時間・手待ち時間 など
業務プロセスの無駄を洗い出し、短縮効果を可視化するには、まず時間軸での分析が効果的です。
② コスト(人件費、外注費、資材費など)
時間と並んで重視されるのがコストです。特に人件費と外注費は業務の効率性をはかる上で欠かせない指標です。
- 作業にかかるコスト(例:1件あたり処理コスト)
- 外注や業務委託にかかる費用
- 無駄な在庫や資材費の発生 など
改善によって「◯◯万円コストを削減できた」といった効果を示せれば、説得力のある成果となります。
③ 件数・回数(処理数、ミス発生数など)
件数や回数は、業務の量や質の変化を測る指標として使えます。
- 日次・月次の処理件数
- エラーやミスの発生回数
- 顧客対応数、営業訪問件数 など
業務の生産性を見える化するうえで、「どれだけこなせたか」「どれだけ減らせたか」は重要な視点です。
業務効率化を数値化するためのステップ
「業務効率を数値で測る」といっても、やみくもに測定してもうまくいきません。以下のステップに沿って進めることで、効果的に可視化と改善を行えます。
数値化ステップ①:現状業務の可視化・洗い出し
まずは、どんな業務が、どのような流れで、誰によって行われているのかを整理することから始めましょう。
- 業務一覧を作成する
- フロー図や業務分解図を使って可視化する
- 作業ごとの目的・成果物・所要時間を明確にする
ここで全体像を把握しておくと、どこに課題があるのか、どこを数値化すべきかが見えてきます。
数値化ステップ②:業務ごとのKPI・指標を設定
次に、それぞれの業務について「何をもって効率的か」を判断するためのKPI(重要業績評価指標)を設定します。
- 時間短縮を目指すなら「作業時間」
- 品質向上なら「ミス件数」や「完了率」
- 業務量なら「処理件数」や「対応件数」
目的に応じて指標を選定し、可視化できる形にします。
数値化ステップ③:ツールやテンプレートで定量データを記録
KPIを測るには、日々の業務でデータを蓄積する仕組みが必要です。
- タイムトラッキングツール(例:Toggl Track)で時間を記録
- Googleスプレッドシートで日々の処理件数を入力
- チェックリストやフォームでミス件数を記録
記録を習慣化しやすい仕組みを作ることが、数値化の土台になります。
数値化ステップ④:定期的に見直し・フィードバックを行う
記録した数値をもとに、改善の方向性を検討・実行することが最終ステップです。
- 月1回などの頻度でKPIをレビュー
- 前月との比較、目標との差分を確認
- 改善策を話し合い、施策を反映
一度の計測で終わらせず、改善サイクル(PDCA)を回すことで、本質的な業務効率化が実現します。
数値化に役立つ業務効率化ツール5選
業務の効率化を数値で“見える化”するためには、計測・記録・分析を支援するツールの活用が欠かせません。ここでは、目的別に役立つ5つの代表的なツールをご紹介します。
ツール名 | 特徴 | 主な用途 |
Asana | タスク進捗を可視化しプロジェクト管理を最適化 | 進捗率の管理・業務の見える化 |
Toggl Track | 作業時間を正確に計測しレポート作成も簡単 | 時間のトラッキング |
Google スプレッドシート | 指標の記録・集計・グラフ化が自由にできる | データ管理・分析 |
MotionBoard | BIツールとして多角的なデータ可視化が可能 | 業務データの分析・報告 |
mayclass業務分解図 | 業務を構造的に分解し課題と改善策を見える化 | 業務の棚卸・効率化支援 |
1. Asana|タスクの進捗率を可視化
プロジェクトやタスクの進捗状況をリアルタイムで把握でき、チーム全体の生産性向上に貢献します。各タスクの「完了率」や「滞留状況」などを数値で把握可能です。
2. Toggl Track|作業時間を正確にトラッキング
作業ごとの時間をワンクリックで計測できるツール。個人・チーム単位の稼働時間や工数をグラフで可視化できるため、時間の使い方の改善に役立ちます。
3. Google スプレッドシート|指標の集計・分析に最適
カスタマイズ自由度の高い集計・分析ツール。業務KPIを記録・可視化し、グラフ化や共有もしやすいため、多くの企業で活用されています。
4. MotionBoard|BIツールであらゆる業務データを視覚化
蓄積した業務データを多角的に分析・可視化できるBI(ビジネスインテリジェンス)ツール。経営層への報告資料やダッシュボード設計にも最適です。
5. mayclass業務分解図|業務単位の棚卸と改善支援に特化
業務を細かい単位に分解し、ボトルネックや非効率な工程を特定するためのツール。業務の「見える化」と「改善提案」が一体化しているのが特徴です。

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業務効率化と数値化の成功事例
実際に「業務効率化 × 数値化」を実践した企業の事例を通して、どのような改善効果があったのかを見てみましょう。
製造業:工程分析でリードタイム30%削減
ある中規模の製造企業では、生産工程ごとの作業時間をToggl Trackでトラッキングし、工程ごとに「平均所要時間」や「滞留時間」を数値化。
その結果、特定の工程に大きなボトルネックがあることが判明し、人員配置を調整。結果として、全体のリードタイムを30%削減することに成功しました。
バックオフィス:月次処理の属人化を脱却
経理・総務などのバックオフィス部門では、GoogleスプレッドシートとMayclass業務分解図を使い、業務内容と担当者を一元管理。
各業務の所要時間や発生頻度を数値化し、属人化していた手順をマニュアル化することで、業務の標準化とチーム内共有が実現しました。
営業部門:活動量を見える化し成果と連動
営業部門では、Asanaを用いて商談件数や訪問頻度などの活動指標をKPIとして管理。
個人ごとの活動量が可視化されることで、行動と成果の関係が明確になり、チーム全体の意識改革と成果の底上げにつながりました。
業務効率の数値化でよくある失敗と注意点
業務効率の「数値化」は、正しく活用すれば強力な改善手段となりますが、やり方を間違えると逆効果になることもあります。ここでは、よくある3つの失敗パターンとその対策を紹介します。
数値化の落とし穴①:数値を取りすぎて業務が煩雑に
あらゆる数値を記録しようとして、かえって現場の手間が増えてしまうケースがあります。
業務の負荷が増えれば、数値化は“負担”になり、形骸化してしまう危険も。
対策:必要最小限の指標に絞る
目的に応じて測定すべきKPIを厳選し、「記録が習慣化しやすい仕組み」を取り入れることが重要です。
数値化の落とし穴②:指標が現場の実態と合っていない
上層部が決めた指標が、現場の実態や業務内容とズレていると、数値に意味がなくなります。「意味のない数字を追わされている」と現場の反発を招くことも。
対策:現場と一緒に指標を設計する
数値化のKPIは、業務の流れを熟知している現場の意見を反映しながら設計することが不可欠です。
数値化の落とし穴③:KPIと現場のモチベーションが乖離
KPIが現場の努力や成果と結びついていないと、「数値だけ見られて評価される」と感じられてしまいます。
対策:KPIと評価・報酬制度を連動させる
成果とプロセス両方を適切に評価する仕組みを整えることで、モチベーション低下を防ぎます。
“見える化”が業務改善を加速させる
業務効率化を成功させるには、「数値化=見える化」が欠かせません。
感覚や経験だけに頼るのではなく、作業時間やミス件数、コストといった具体的な数値を指標として捉えることで、問題点を正確に把握し、改善の道筋を立てることができます。
まずは現状把握と数値による現実の理解から
改善は「現状を知ること」から始まります。
業務の棚卸しやKPI設定を通じて、自社にとって本当に必要な業務やムダな作業が明確になり、改善の優先順位も見えてきます。
ツールや仕組みを活用し、改善サイクルを回そう
一度数値化したら終わりではありません。記録・分析・見直し・改善というサイクルを継続的に回すことで、業務はどんどん洗練されていきます。
AsanaやToggl Track、Googleスプレッドシート、Mayclassの業務分解図など、可視化・定量化を支援するツールを上手に活用することが、成功への近道です。
業務効率化に「数値」という軸を持つことで、判断の精度も、組織全体の納得感も大きく変わります。まずはできるところから、小さな数値化を始めてみませんか?
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