「マニュアル」という言葉は、多くの人にとって馴染み深いものですが、マニュアルの本当の意味や重要性については意外と知られていないことが多いです。この記事では、マニュアルの基本的な知識から、効果的な作成方法までをわかりやすく解説していきます。

マニュアルの基礎知識

マニュアルは、特定の作業や手順を体系的に説明した文書であり、業務の効率化や品質の向上に欠かせないツールです。まずは、マニュアルの基本的な概念や役割、マニュアル活用で得られる効果について詳しく解説していきます。

マニュアルとは?手順書・仕様書・説明書との違い

マニュアルはしばしば、「手順書」「仕様書」「説明書」と同じものだと誤解されています。
「手順書」は、特定のタスクや作業を遂行するための具体的な手順を示しています。「仕様書」は、製品やシステムの機能や性能を詳細に記述したもので、製品の設計や開発において重要な役割を果たします。「説明書」は、製品や装置の操作方法や機能をユーザーに説明するためのものです。これらはすべて「製作者側の観点」で書かれています。


一方、「マニュアル」は、特定の業務やタスクを遂行するための指示やガイドラインを詳細に記述したもので、目的達成のための手順や使用するタイミング、状況などを網羅的に記したものです。マニュアルは「使用者側の観点」で書かれており、業務の目的を明確にし、その目的に至るまでの具体的な手順を示すことで、業務の効率性と品質を向上させる役割を果たします。
したがって、マニュアルとこれらの文書との大きな違いは、「製作者側の観点」で書かれているか、「使用者側の観点」で書かれているか、という点にあります。マニュアルは、使用者が業務を効率的に、そして正確に遂行するためのガイドであり、その業務の「なぜ」や「いつ」も含んでいるのです。

マニュアルを活用することで得られる効果

マニュアルがもたらす効果は多岐にわたります。
まずは『業務の標準化』です。マニュアルがない現場では業務が個人の判断、個人の裁量に頼った運用になります。これでは仕事をする人によって業務のクオリティに差が出てしまい、リソースのムリ・ムラ・ムダにつながります。マニュアルを導入することで属人的なやり方を統一し、業務のクオリティを均一化することができます。
ニつ目の効果が、『社員が自主的に業務を進めることができる』ということです。「相談できない」や「答えがバラバラ」といった問題はどの会社にも起こり得ること。マニュアルがあることで社員が自主的に業務を進め、生産性の向上が可能になります。
三つ目の効果は、『人材育成』に対するものです。マニュアルを使うことで、新人教育や人材育成が効率的に行え、業務が特定の個人に依存する属人化を回避する効果もあります。
四つ目の効果は、『業務改善やイノベーションの促進』です。マニュアルの作成は業務の可視化を促進し、問題点が浮き彫りになるため、業務改善のきっかけとなる可能性があります。
以上のように、マニュアルは業務のスムーズな進行だけでなく、業務の質や効率、人材育成、業務改善やイノベーションを促進するための重要なツールとなります。

マニュアル作成における課題

一般的に、企業などがマニュアルを作成する場合、大きく5つの課題があります。それぞれについて詳しく解説していきます。

緊急度は高いが優先度は低い

すぐに対応が必要な問題(緊急)でも、全体の業務の中での重要性(優先度)が低いため、マニュアル作成が後回しにされがちです。これに対しては、業務の優先順位を明確に設定し、マニュアル作成を計画的に進めることが必要です。また、マニュアル作成が業務効率や品質向上に直結することを理解し、組織全体でその重要性を共有することが大切です。

暗黙知の可視化

暗黙知とは、個々の経験や感覚に基づく知識のことで、これを形式化し、共有可能な形にすること、つまりマニュアルにしていくことは簡単ではありません。この課題を克服するためには、従業員間のコミュニケーションを促進し、知識共有の文化を育むことが必要です。ワークショップやインタビューを通じて、経験者の知識を引き出し、具体的な事例として記録する方法も有効です。

マニュアル担当者の不在

マニュアル作成には時間と専門知識が必要であり、そのために専任の担当者が必要です。しかし、小規模な組織では、そのような人材を確保するのが難しい場合があります。この場合、マニュアル作成の外部委託を検討するのも一つの方法です。また、内部のリソースを活用するために、社員に対してマニュアル作成のトレーニングをし、全員が少しずつ貢献できる体制を整えることも考えられます。

マニュアルの運用更新が難しい

業務の変更や改善に伴い、マニュアルも常に更新する必要があります。しかし、これは時間と労力を必要とするため、適切な運用、更新が難しいという課題があります。マニュアル更新のスケジュールを作成し、それを遵守することが重要です。また、マニュアルの更新を業務の一部と捉え、それに対する評価や報酬システムを設定することが効果的です。定期的なレビューと更新作業を組み込むことで、マニュアルの鮮度を保つことができます。

再現レベルの設定

マニュアルは業務を再現するためのものですが、その再現レベル(どれだけ詳細に書くか)をどの程度に設定するかは難しい課題です。詳細すぎると冗長になり、逆にざっくりとしすぎると再現性が失われます。この課題を解決するためには、マニュアルの目的や使用者のスキルレベルに応じて、適切な再現レベルを設定することが重要です。利用者からのフィードバックを定期的に収集し、マニュアルの内容を適宜見直すことも有効です。また、段階的な説明を採用し、初心者向けの基本手順と上級者向けの詳細手順を分ける方法もあります。

マニュアルの作成方法

ここからは、効果的なマニュアルの作成方法について解説していきます。マニュアル作成する際の参考にしてください。

目的と対象者を明確にする

マニュアルを作成する際には、まずその目的と対象者を明確にしましょう。たとえば、「引き継ぎのためにマニュアルを作りたい」「社員教育環境を整えたい」など企業ごとにマニュアルを作りたいと思うさまざまなニーズがあるはずです。マニュアルの目的とは、何を達成するためのものなのか、対象者とは、誰を対象にしているのかを指します。
これらを明確にすることで、内容や表現方法を適切に設定することができます。

作成ルールを設定する

マニュアル作成のためのルールやガイドラインを設定します。これには、表記の統一、使用する言葉や表現、視覚的要素の使用などが含まれます。
ポイントは、「何のためにマニュアル化をするのか」「どういうとこにマニュアルを使うのか」というマニュアル化の意義や目的を説明できるようにすることです。
これらのルールを設定することで、マニュアル全体の一貫性を保ち、読み手にとって理解しやすいものにすることができます。

作成目標スケジュールを設定する

マニュアル作成のスケジュールを設定することも重要です。可視化は短期間で行い、運用・更新まで見据えた期間を設定することがポイントです。
業務の内容や情報は日々変わっていくため、のんびり作業をしているとどんどん陳腐化していきます。期間を決めて一気に作りましょう。

マニュアルのテーマや構成を決定する

マニュアルの全体的なテーマや構成を決定します。マニュアルの主要なセクションや項目、順序なども整理します。初期の段階で構成をしっかり固めておけば、作成途中に「この項目を追加したい」「削除したい」という手戻りを防ぐことができ、必要な情報が漏れなく盛り込まれるようになります。

マニュアルを完成させる

各セクションや項目の詳細な内容を記述し、マニュアルを完成させます。このステップでは、視認性、可読性、判読性を意識して書くことが重要です。
視認性とは文字の見やすさを意味します。余白の適切な設定、文字間や行間、文字の色やサイズを調整するなど、文字としての認識がしやすいように工夫が必要です。
可読性は文章の読みやすさを指します。文章が難しすぎず、理解しやすい内容か、文章が長すぎず、正確に速く読めるか、読んでいて疲労を感じないか、などがポイントになります。
判読性は文章のわかりやすさを指し、誰の観点で書かれているかがわかるか、素人目線でわかりやすく書いてあるか、などがポイントです。社内用語や業界の専門用語をまとめた用語集を作成する場合がありますが用語集は、この判読性の向上につながります。

マニュアルを運用し更新する

完成したマニュアルを実際に運用し、その効果を評価します。運用の中で得られたフィードバックを基に、必要に応じてマニュアルを更新します。マニュアルは常に最新の情報を反映し、実用性が維持されます。マニュアルが「生きている」状態を保つことで、業務の標準化を継続的にサポートします。

マニュアルを作成しよう

今回は、マニュアルに関する基礎知識やマニュアル作成における課題、作成方法をわかりやすく解説しました。マニュアルは、業務の効率化や品質向上に不可欠なツールです。その重要性を理解し、適切な手順で作成することで、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。早速マニュアル作成に取り掛かり、業務の標準化と改善を進めていきましょう。

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