マニュアルを整備したはずなのに、「結局見られていない」「誰も使っていない」と感じたことはありませんか?

多くの企業が、せっかく時間と労力をかけて作成したマニュアルが、現場で活用されないという悩みを抱えています。とくに新人教育や業務引き継ぎの場面では、「マニュアルがあるのに質問が止まらない」「現場では結局、口頭で教えている」といった状況が頻発しています。

なぜ、マニュアルは「あるのに使われない」のでしょうか?

この記事では、その根本原因と、実際に活用されるマニュアルへと改善するための具体策を紹介します。

目次
  1. よくある悩み「マニュアル作ったのに使われない」
    1. 現場で「マニュアル見てない」問題が多発
    2. 「結局、人に聞く」文化が残る理由
  2. なぜマニュアルが活用されないのか?主な原因5つ
    1. マニュアルが活用されない原因① 内容が古い・更新されていない
    2. マニュアルが活用されない原因② 探しにくい
    3. マニュアルが活用されない原因③ 文章が難解で読みづらい
    4. マニュアルが活用されない原因④ 実際の業務とズレている
    5. マニュアルが活用されない原因⑤ アクセス性の問題
  3. マニュアル活用を妨げる「作り方」の落とし穴
    1. マニュアル作成で現場の声を反映していない
    2. マニュアル作成の目的が曖昧になっている
    3. 「マニュアル作成がゴール」になってしまっている
    4. 誰のためのマニュアルかが不明確
  4. 活用されるマニュアルにするための改善ステップ
    1. ① マニュアル作成の目的と読者を明確にする
    2. ② 業務フローに沿ったマニュアル構成にする
    3. ③ マニュアルを検索・閲覧しやすい場所に保管
    4. ④ マニュアルの更新ルールを設定する(頻度・担当者・保管場所)
    5. ⑤ 業務分解図などビジュアル要素を取り入れてマニュアルを可視化
  5. マニュアルが現場に定着する仕組み作り
    1. OJTや研修と連携させてマニュアルを活用する文化をつくる
    2. フィードバックループを設計し、マニュアルを改善し続ける仕組みに
    3. マニュアル活用を評価制度に連動させる(KPI化・可視化)
  6. 「活用されるマニュアル」は、現場との対話から生まれる
  7. mayclassの業務分解図を活用したマニュアル改善支援はこちら

よくある悩み「マニュアル作ったのに使われない」

「丁寧に作ったはずなのに、誰も使ってくれない」。これは多くの企業で見られるマニュアル運用の課題です。

時間と労力をかけて整備したマニュアルが、いざ現場では「読まれていない」「見たこともない」と言われる。そんな経験はありませんか?

とくに教育や業務引き継ぎの現場では、「マニュアルがあるのに使われない」ではなく、「使われないようなマニュアルの作り方・運用」になっているケースが多く見られます。

現場で「マニュアル見てない」問題が多発

「マニュアルは作ったのに、誰も使っていない…」そんな声を、企業の管理者や教育担当者からよく耳にします。特に新人教育や業務引き継ぎの場面で、せっかく作成したマニュアルが「全然使われていない」「見られていない」という現象は珍しくありません。

実際、現場では「マニュアルあるけど見たことない」「結局、隣の人に聞いた方が早い」といった意見がよく出てきます。このような状況が続くと、せっかく時間をかけて作ったマニュアルも「存在しているだけ」のものになってしまいます。

「結局、人に聞く」文化が残る理由

人に直接聞いた方が早いという文化が残る背景には、マニュアルの使い勝手に問題があるケースがほとんどです。内容が実務に即していなかったり、更新されておらず信用できなかったり。そもそも探しにくくてアクセスできなければ、見る習慣が根付きません。

つまり、「使われないマニュアル」は、作り方や運用方法に原因がある構造的な問題だと言えます。

なぜマニュアルが活用されないのか?主な原因5つ

マニュアルが現場で活用されないのには、いくつかの共通した要因があります。形式や内容、管理方法に問題があると、せっかくのマニュアルも「読む気がしない」「探すのが面倒」「信用できない」といった理由で避けられてしまいます。

ここでは、特に多くの企業で見られる5つの代表的な原因を紹介します。まずは、「情報の鮮度」に関する課題から見ていきましょう。

マニュアルが活用されない原因① 内容が古い・更新されていない

作った当時は最新だったマニュアルも、時間が経つにつれて実情とズレていくことがあります。業務手順が変わってもマニュアルが更新されないままだと、情報の信頼性が失われてしまいます。

例えば、

  • 廃止されたツールの説明が残っている
  • 旧バージョンの業務フローが記載されている
  • 担当者名が何年も前のまま

こうした状態では「このマニュアル、もう古いんじゃないか?」と疑念が生まれ、誰も使わなくなってしまいます。

マニュアルが活用されない原因② 探しにくい

マニュアルが存在していても、「どこにあるのか分からない」「探すのに時間がかかる」といった理由で使われないことがあります。

例えば、

  • フォルダが深すぎて辿り着けない
  • チームごとにバラバラに管理されている
  • アクセス権限が設定されていて開けない

このような状況では、現場のメンバーは「調べるより聞いた方が早い」と判断し、マニュアルの存在意義が薄れてしまいます。

マニュアルが活用されない原因③ 文章が難解で読みづらい

マニュアルが専門用語や抽象的な表現ばかりだったり、長文で詰め込まれていると、「読むのに時間がかかる」「意味が分かりにくい」と感じられてしまいます。

特に、

  • 新入社員や異動直後の人
  • 日本語が母語でないスタッフ

などにとっては、読みやすさ・分かりやすさがマニュアル利用のハードルになります。
「読めば分かる」ではなく、「ぱっと見て理解できる」ことが重要です。

マニュアルが活用されない原因④ 実際の業務とズレている

マニュアルと現場の動きが食い違っていると、現場では混乱が生じます。

  • マニュアル通りに作業してもエラーになる
  • 「この手順だと現場では回らない」と言われる
  • 書いてある内容と上司の指示が違う

このような状況があると、現場は「マニュアルより実務を優先」するようになり、マニュアルは形骸化していきます。

マニュアルが活用されない原因⑤ アクセス性の問題

マニュアルが使われない理由として意外と多いのが、「見たいときにすぐ見られない」ことです。

  • 紙でしか存在せず、現場に持っていけない
  • 社内ネットワークにしかアクセスできない
  • モバイル端末からは開けない

こうした物理的・技術的な障壁があると、マニュアルを「使いたくても使えない」状態になってしまいます。現場で手軽にアクセスできる環境づくりは、マニュアル活用の前提条件です。

マニュアル活用を妨げる「作り方」の落とし穴

マニュアルが現場で使われない原因は、完成後の運用だけでなく、作成プロセス自体にあることも少なくありません。

「とりあえず作った」「誰に向けたものか曖昧」「実務とズレている」

こうした問題は、マニュアルの段階で“つまずいている”サインです。ここでは、マニュアル作成時によくある4つの落とし穴とその影響について解説します。

マニュアル作成で現場の声を反映していない

マニュアルを作る際、「書き手の視点」だけで構成してしまうと、現場とのズレが生まれます。実際の業務を行っている人の声を取り入れず、管理側だけで完結させてしまうと、現場では「これじゃ使えない」「実際と違う」といった不満が出てしまいます。

例えば、

  • 手順が細かすぎて読みにくい
  • 現場では省略しているフローが書かれている
  • 本当に知りたいポイントが載っていない

など、“実務とかけ離れたマニュアル”が出来上がってしまうのです。
作成段階で現場ヒアリングを行うことは、マニュアルの実用性を高める第一歩です。

マニュアル作成の目的が曖昧になっている

「このマニュアルは何のために作るのか?」が明確でないと、内容や構成に一貫性がなくなり、読み手にとっても伝わりづらいものになります。

目的が不明確なままだと、

  • 内容のレベルがバラバラ
  • 「どこまで説明すべきか」が判断できない
  • 書き手ごとに方向性がブレる

といった事態に陥りがちです。

「新人教育のため」「業務の標準化のため」「属人化を防ぐため」など、目的を明示したうえでマニュアル作成を始めることで、軸の通った内容になります。

「マニュアル作成がゴール」になってしまっている

マニュアルは完成して終わりではなく、“使われてこそ価値がある”ものです。
しかし現場では、チェックリスト的に「マニュアルを作る」ことが目的になってしまい、作成後に活用・定着させるフェーズが抜けてしまうケースも少なくありません。

こうなると、

  • 作ったまま放置されて古くなる
  • 活用状況が可視化されない
  • 改善や更新が行われない

といった状態に陥り、「結局使われないマニュアル」が出来上がってしまいます。

マニュアル作成はあくまで“スタートライン”。
作成後に「どう活用されるか」「どのように更新していくか」まで見据える必要があります。

誰のためのマニュアルかが不明確

対象読者を明確にしていないマニュアルは、情報のレベルや書き方が適切でなく、結果的に「誰にとっても使いづらいもの」になってしまいます。

例えば、

  • 新人向けなのに専門用語だらけ
  • 中堅社員には物足りない
  • 管理者に必要な情報が抜けている

など、ターゲットに合っていないマニュアルでは、必要な情報が伝わりません。

マニュアルを作成する際は、「誰が・どんな場面で・どのように使うか」を具体的に想定することが重要です。読者像を明確にすることで、言葉遣い・図解の有無・情報の深さなどが自然と最適化されます。

活用されるマニュアルにするための改善ステップ

マニュアルは「作って終わり」ではなく、現場で実際に使われ、成果につながることが目的です。そのためには、作成時の工夫はもちろん、活用・運用フェーズまで見据えた設計が不可欠です。

ここでは、「マニュアル作成〜運用」までの中で押さえるべき5つの改善ステップをご紹介します。

① マニュアル作成の目的と読者を明確にする

まず最初に必要なのは、「誰のために」「何のために」そのマニュアルを作るのかをはっきりさせることです。目的や読者像が曖昧だと、情報の深さやトーン、構成がバラバラになり、読み手にとって使いにくいものになってしまいます。

例えば、

  • 新入社員が入社後1週間で電話対応できるようにする
  • パートスタッフが1人でも商品管理ができるようにする

など、行動目標レベルでゴールを設定することで、マニュアルの内容に一貫性が生まれます。「誰が」「どの業務で」「どう活用するか」を想定することが、第一歩です。

② 業務フローに沿ったマニュアル構成にする

マニュアルの情報は、業務の流れ(フロー)に沿って整理することで、利用者が実際の業務中に「どこを見ればいいか」が直感的に分かるようになります。

例えば、

  • 「手順1:準備 → 手順2:操作 → 手順3:報告」というようにステップで整理
  • 作業の前提条件や注意点も明示する

など、実務の流れに即した構成にすることで、読み手が迷いにくくなります。
箇条書きやフローチャートを活用し、手順を視覚的に把握できる工夫も有効です。

③ マニュアルを検索・閲覧しやすい場所に保管

マニュアルは、「使いたいときにすぐ使える」状態でなければ意味がありません。
そのためには、誰でもすぐにアクセスできる環境を整えることが不可欠です。

  • Google DriveやDropboxなどのクラウドにまとめる
  • フォルダ構成やファイル名のルールを統一する
  • スマホ・タブレットでも閲覧可能な形式にする

など、情報の迷子を防ぐ設計が重要です。
紙のマニュアルだけでなく、デジタル版との併用も検討しましょう。

④ マニュアルの更新ルールを設定する(頻度・担当者・保管場所)

マニュアルが「古くて使えない」と言われないためには、定期的な更新ルールの整備が欠かせません。
特に以下の3点は明確に決めておきましょう。

  • 更新頻度: 月1回、四半期ごと など
  • 更新担当者: 各部署のリーダーや教育担当など
  • 保管場所: 社内共通のクラウドフォルダに集約

こうしたルールを明文化し、関係者で共有しておくことで、継続的にメンテナンスされるマニュアルが実現します。また、変更履歴を残しておくと、誰が・いつ・何を更新したかが追いやすくなります。

⑤ 業務分解図などビジュアル要素を取り入れてマニュアルを可視化

マニュアルは文章だけではなく、図や表を活用することで一気に“見やすさ”と“理解度”が向上します。特に有効なのが、「業務分解図」と呼ばれる業務の構造を視覚的に整理した図です

  • 業務を工程ごとに分解し、矢印で流れを示す
  • 関係者やツール、前後関係を図解する

など、業務全体のつながりが見えることで、部分的な手順も理解しやすくなります。ビジュアルの力を借りることで、「読まなくても分かるマニュアル」に近づきます。

マニュアルが現場に定着する仕組み作り

せっかくマニュアルを作成しても、現場で使われなければ意味がありません。

作って終わりではなく、「現場に定着し、日常的に活用される状態」をつくるためには、社内の仕組みとして活用を促進する工夫が不可欠です。

以下の3つの取り組みは、マニュアル定着を進めるうえで特に効果的です。

OJTや研修と連携させてマニュアルを活用する文化をつくる

マニュアルを社内研修やOJT(On the Job Training)の場で積極的に使用することで、「現場でマニュアルを見るのが当たり前」という文化が醸成されます。

具体的には、

  • 新入社員研修で「マニュアルの読み方・使い方」を教える
  • OJT担当者がマニュアルに沿って指導する
  • 日常の業務チェックリストとしてマニュアルを併用する

といった使い方が有効です。
マニュアル=指導・業務のベースツールという認識を持たせることで、自然と定着が進みます。

フィードバックループを設計し、マニュアルを改善し続ける仕組みに

マニュアルを現場に定着させるには、「一方通行」で終わらせないことが大切です。
現場で働く人からのフィードバックを受け取り、内容に反映できる体制を整えることで、マニュアルは“生きた情報”として進化していきます。

例えば、

  • Googleフォームやチャットツールで意見を回収する
  • 月1回のフィードバック会議でマニュアル改善を議論する
  • 「使いづらいページ」の報告窓口を設ける

といった簡易かつ継続的な仕組みが有効です。
「使いにくい」と感じた瞬間に声を上げてもらえる体制が、マニュアルの品質向上と現場定着を支えます。

マニュアル活用を評価制度に連動させる(KPI化・可視化)

マニュアル活用を組織的な評価の対象とすることで、より一層の定着が期待できます。
「見て終わり」「作って終わり」ではなく、活用状況を定量的に追い、改善サイクルに組み込むことが重要です。

KPIの例としては、

  • マニュアル参照率(閲覧回数/業務回数)
  • マニュアル更新頻度や修正回数
  • マニュアルに対するフィードバック数

などがあります。
これらの指標を可視化することで、管理者だけでなく現場スタッフもマニュアルの価値や役割を再認識しやすくなります。

「活用されるマニュアル」は、現場との対話から生まれる

マニュアルを作成したのに活用されない。これは多くの企業に共通する悩みです。
しかし、その解決には特別なノウハウやツールが必要なわけではありません。

現場との対話、目的の明確化、定期的な改善という3つのポイントを押さえるだけで、マニュアルは「存在しているだけ」の状態から、「現場で本当に使われるツール」へと生まれ変わります。

現場に寄り添い、読みやすく、探しやすく、アップデートしやすいマニュアル作成と運用を行うことが、マニュアル活用の第一歩です。

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