こんにちは。mayclassでマニュアルライターをやっている玉森です。
皆さん、マニュアルに興味を持っていただいて、このページをご覧になっているかと思います。今回は、お客様のマニュアルを長年作ってきた経験に基づいて、マニュアルライターの仕事について、またマニュアルを作るコツをご紹介します。

どうやってマニュアルを作成しているか

私たちは「現場で本当に使われるマニュアル」を目指し、段階的なプロセスに基づいて丁寧に作成を進めています。お客様の業務理解から始まり、構成の設計、詳細な内容の整理、そして仕上げと確認まで、以下の7つの手順で進行します。

マニュアル作成の手順①:お客様の業務を理解する

私たちの仕事は、まず、マニュアルを作成するお客様の理解から始まります。

・どんな業種なのか?
・どんな仕事をしている会社なのか?
・どんな企業理念を持っているのか

などをホームページや実際にお伺いすることで業務を理解します。

マニュアル作成の手順②:作成するマニュアルを理解する

次に、どんなマニュアルを作りたいのかというところを把握します。

・どの業務のマニュアルを作るのか?
・マニュアルを作る目的は何なのか?
・マニュアルを使う人は誰か?

一口にマニュアルと言っても、様々な種類があります。

業務はもちろんのことですが、誰が使うマニュアルかというのは、意外に重要です。例えば、その仕事が初めての人向けのマニュアルであれば、基本的なことから詳細にすべて書かなければいけませんし、管理職向けであれば基本事項は当然知っているという前提で省くこともあります。

私たちは常に、読み手の立場に立って、マニュアルを制作していきます。それらを経て、お客様へのインタビューが始まります。私たちはお客様へのインタビューを重ね、その内容をマニュアルとして作ります。

マニュアル作成の手順③:全体の流れを理解し、構成を考える

まず最初は業務全体の流れを聞き、全体の流れを把握します。この最初の段階で、大まかなマニュアルの構成を作っていきます。

イメージとして分かりやすいのは、マニュアルの目次を作るという感じです。ここをしっかりと作ることで、マニュアルを使う人がどこを見ればいいかわかりやすいマニュアルになります。

マニュアル作成の手順④:詳細手順について理解する

その後、一つ一つの作業について、じっくりと、けっこう細かくインタビューします。申し訳ないなと思いながらも、けっこう細かく深掘りしていきます。

ここで細かく聞き、、マニュアルに落とすことで、再現性が高まります。つまり、マニュアルを使う人からの質問を最小限に食い止めるために、再現性を意識して、細かく聞いていきます。

ここで私たちが意識しているのは、ただ手順を細かく聞くだけではないということです。ただ手順を細かく書いただけでは、ロボットの仕様書になってしまいます。そうではなくて、人間が使うマニュアルとして、作業の目的などの周辺の概要を詳しくお聞きすることで、マニュアルを使って作業する人がアレンジでき、効率化できることを目指します。

マニュアル作成の手順⑤:内容をマニュアルに反映する

インタビューで聞き取った内容を整理し、マニュアルに随時、反映していきます。このときに、私たちは様々な工夫をします。

・どうやったら読みやすいか?
・どうやったら理解しやすいか?

これらのことを考えながら、文章構成、図や表、時にはイラストなども交えながら、使う人が読みやすいマニュアル、分かりやすいマニュアルをイメージして作り上げていきます。

情報を整理し、分かりやすい形で作り上げていくため、私たちはインタビューの10倍以上の時間をかけて、マニュアルを制作していきます。詳細なインタビューとマニュアルへの反映を何度も繰り返しながら、対象業務のすべてのインタビューを終えます。これには、数か月という時間を要します。

マニュアル作成の手順⑥:全体を整える

インタビューでお伺いした内容をすべてマニュアルに反映したら、最後に、全体の整合性を取り、マニュアルを整えます。この作業の中で、意外と発生してしまうのが、補足のインタビューです。全体を通して内容を確認している間に、けっこう、「あれ? これはどうなっているのかな?」と思う点が出てきます。このあたりをできる限り解決することが、再現性を高めるポイントとなります。

マニュアル作成の手順⑦:確認していただく

全体を整えたら、最後にお客様に内容を確認していただきます。もちろん、途中段階でもマニュアルの記載の仕方、表現の仕方などを都度、ご相談していきますが、お客様にもぜひ最後に全体を通して見ていただき、よりよいものに仕上げられれば、それがベストです。

ここまでで、マニュアルの初版が発生します。もちろんマニュアルは1度作ればそれで完成というわけではありません。あくまでもここがマニュアルの出発点。あとは使いながら、作業が変更になったところ、もっとこうしたほうが良いというノウハウなどを、都度、追加・変更しながら、マニュアルを育てていただきます。

プロ視点!マニュアル作成のコツ・ポイント

さて、長々とマニュアル制作の過程をお話ししましたが、私たちマニュアルライターがマニュアル制作に関わる際の一番のポイントは、インタビューの有無にあると思います。私たちは、マニュアル制作において、インタビューの時間をかなり重要視しています。

お客様から「インタビューは必要ですか?」と聞かれることがあります。答えは「YES」です。

なぜならば、私たちは皆さまの仕事のエキスパートではないからです。エキスパートどころか、まったくの新人同然の知識だと思ってください。しかし、ここが重要なポイントなのです。

マニュアル作成のコツ①:暗黙知を可視化する

自分の仕事について話す際、それが日常の業務であればあるほど、説明を落としがちです。例えば、よく以下のような会話をすることがよくあります。

担当者 「AとBという書類を郵送します」
ライター「AとBという書類はどのように準備しますか?」
担当者 「書類Aは共通棚の2番目の引き出しにあります。これはそのまま送ります。書類BはFMTを編集して作成します。共有FMTフォルダにひな形があるので、それをコピーして、必要事項を入力して、印刷します。」
ライター「その2つを郵送するのですね」
担当者 「はい、そうです。共通棚の3番目の引き出しに封筒があるので、宛名を書き、そのなかに書類AとBと送付状を入れて送ります」
ライター「あ、すみません、その送付状はどこから用意しますか?」

業務に必要な書類A、Bの説明はきちんとしていただくのですが、当たり前のように入れている送付状については、封筒に入れるという段階で初めて名前が出てくる、こんなケースがよくあります。この「当たり前のこと」は意識せずに行っていることが多いため、説明を忘れがちです。これが「暗黙知」です。

第三者である私たちライターがお伺いすることで、その暗黙知に気づくことが多くあります。それは、教えられる側、つまりマニュアルを使う人たちの疑問でもあるのです。

この暗黙知をマニュアルに記載し忘れると、その時点で、都度、質問が来てしまいます。せっかくマニュアルを作っても、「質問が多くて業務の効率化になっていない」とか「わからないことがいっぱいでマニュアルを見ても仕方ない」と、マニュアルが使われなくなる原因となります。

マニュアル作成のコツ②:業務整理に有用な第三者の視点

インタビューすることにおいて、別の効果もあります。

それは、私たちが細かく業務の内容や作業をする上でのポイント、注意点などをお伺いすることにより、インタビューを受けている担当者の方は業務整理が行われるということです。1つ1つの作業を細かく聞かれ、説明し、文字や図になることで、当たり前のように行ってきた作業のムダが見えることがよくあります。それにより、業務の効率化につながることもよくあります。

例えば、「同じことを時間を変えて2回行っていた」とか、「AさんとBさんが同じ作業をやっていた」などが見えてくることもあります。この場合、2回の作業を1回に集約することで、効率化が図られます。

しかし、毎日当たり前にやっていることであればあるほど、それに気づきにくいものです。そして、些細なことであればあるほど、さらに気づきにくくなっていきます。よく考えてみてください!毎日1作業=3分が効率化されることで、1か月で1時間、1年で12時間(1.5日)の作業が効率化されるのです。

人に説明し、文字化されることで、そのちょっとしたことに気づいていただくことも、意外と多かったりします。

「あ、その作業、効率化できそうだな・・・」そんな言葉を聞いたとき、私たちライターは、心の中でニンマリしてしまうのです。

「人手や時間がなくてマニュアル制作をお願いしているのに、自分たちの時間も割かなければいけないのか」と思われることもあるかと思いますが、それだけインタビューはマニュアル制作において大切な部分です。

マニュアル作成のお手伝い

お客様が私たちにマニュアル作成をご依頼くださる理由は、主に次の2つに集約されます。私たちはこれらのご相談を、日々多くのお客様からお聞きしています。

相談①:人手不足によりマニュアル作成に着手できない
 「担当者が忙しくてマニュアルを作る余裕がない」
 「マニュアルを作りたいけど、そこに割く人手がない」

相談②:マニュアルを作成したが挫折した
 「マニュアルを作ろうと思ったけど、何をやっていいかわからない・・・」
 「マニュアルを作りかけたが、手間がかかり過ぎて無理だった」
 「もっと簡単に作れると思ったのに、意外と進まない」
 「マニュアルを作ったものの、全然使われない」

これらの失敗経験は、マニュアル作成に対するネガティブなイメージを生み出し、再挑戦へのハードルを高め、ひどいときにはマニュアルへの嫌悪感を生み出してしまうことにもなりかねません。

私たちは、このようなお客様の状況を深く理解して、それぞれの課題に合わせた最適なソリューションを提供することで、マニュアル制作の良さを皆様に分かっていただくことを目的としています。

「マニュアルを作って良かった」「マニュアルを作って楽になった」、このお言葉をいただくために、日々、さまざまなことに精進し、皆様をお待ちしています。

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